【レビュー】リュ・スンボム主演のアニメチックな映画『野獣と美女』


 アニメ映画の怪物の声専門の声優ドンゴン(リュ・スンボム)は目の見えないヘジュ(シン・ミナ)と恋人の仲。見た目にコンプレックスを持つドンゴンは高校時代に人気のあった友人ジュナ(キム・ガンウ)の顔を思い出しながらヘジュに自分の顔のように説明する。

 ある日、ヘジュが手術を受けて目が見えるようになると、顔を見せることが出来ずに悩んだドンゴンは、ハワイに出張に行って来ると言って整形手術を受ける。手術が何度も失敗して再会がどんどん先延ばしになっている間に検事になったジュナがヘジュに好感を持つようになりアプローチする。

 忠武路(チュンムロ、韓国映画の中心地)コメディは徐々にマンガ的になっている。 27日に公開される『野獣と美女』はその中でも最もマンガ的な映画だ。童話的なうえに幼稚な恋愛談にマンガ的なキャラクターを描いたこの映画は、演技のスタイルからカメラアングルや特殊効果に至るまで徹底してマンガ的だ。



 カフェでヘジュの伴奏に合わせて歌うジュナを狙ってドンゴンが嫉妬して空き瓶を投げ、ヘジュがそれに当たって倒れるといったシーンでからしてもマンガ的なのは同じだ。

 文学的や演劇的という評価のように、マンガ的という言葉そのものが映画のクオリティーに対する尺度になるとは限らないだろう。しかし、問題は『野獣と美女』が度々締め切りに間に合わせるために急いで仕上げた連載マンガのように見えるという点だ。

 ストーリーは基本的なリアリティーに欠け、ルックスに対する冗談に一貫するエピソードは退行的だ。

 魔法から覚めた童話の中のお姫様のようなキャラクターを演じたシン・ミナの演技は観客に負担を与え、『台風太陽』に続き主演級を務めたキム・ガンウは「犯人と直接対決する熱血検事」というキャラクターをぎこちなく繰り返す。

 それでもこの映画にはリュ・スンボムが出ているだけに楽しさは保障する。『品行ゼロ』と『ARAHAN アラハン』での演技を思い出させる印象は否めないが、慌てたように繰り広げる彼のコメディ演技は相変らず卓越していて楽しい。

 『美女と野獣』という広く知られたタイトルを『野獣と美女』とひっくり返しただけの資格が彼にはある。どこか抜けた殺し屋役で出演したアン・ギルガンのとぼけた演技も笑わせてくれる。この娯楽映画が与えてくれる笑いの最大値は、リュ・スンボムとアン・ギルガンが共に登場するシーンにある。

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