崔民秀(チェ・ミンス)の悪魔的カリスマが輝かしい。
1988年に「有銭無罪・無銭有罪」という新しい言葉を生んだ脱獄囚チ・ガンホン事件を扱った映画『ホリデー』でチェ・ミンスは、久しぶりに悪役らしい悪役を演じて独自のカリスマを全身から放っている。
チェ・ミンスの演じる役は脱獄囚チ・ガンホン(劇中ではチ・ガンヒョク)を演じる李誠宰(イ・ソンジェ)を絶えず苦しめる刑務所副所長のアンソク。鎖で体を縛って水で拷問するなど残酷な一面を持っている。1980年代の抑圧的な社会像を反映する人物だ。
人物の強烈で鋭い印象を表現するために約10キロ減量したチェ・ミンスは、前歯に金箔を塗りつけるなど、キャラクターになり切ろうと渾身の努力を傾けている。その甲斐あって目つき一つを取っても悪魔的なカリスマで漲っている。
チェ・ミンスの覚悟も特別だ。全羅北道(チョルラプッド)益山(イクサン)で約一か月にわたって行われた刑務所での撮影を終えたチェ・ミンスは「撮影前から多くの準備をしてきただけに、身の毛がよだつような悪役の演技でチ・ガンヒョクというキャラクターになり切ることにベストを尽くす」と自信を語った。
映画会社の関係者はチェ・ミンスについて「久しぶりにすべてを捧げるに値する作品に出会ったと言って意気込みに溢れている。一度撮影に入ると完全に役になり切ってその場にいた関係者も驚くほどだった」と満足気に語った。
チェ・ミンスは先月、撮影現場に向かう途中、オートバイ事故に遭い、全治12週間の診断を受けた。しかし、チ・ガンホン事件が秋に起きたからと撮影を強行している。チェ・ミンスは撮影のない時は宿所で治療を受け、今回の映画に体当たりで挑んでいる。