KBSドラマ『バラ色の人生』に見る不倫ドラマの構図


 不倫という素材は斬新さを失ってから随分と経つ。時には「食傷気味だ」「エロチックだ」といった非難さえも受ける。それでも不倫を扱ったドラマや映画は絶えず再生産されている。避けられない不倫を描く視線や方式は複雑になった。

 『私の名前はキム・サムスン』以降、小康状態だったお茶の間に新しい活気(13日放送分の視聴率28.0%)を吹き込んでいるKBSの水木ドラマ『バラ色の人生』は不倫の進化を見せる代表的な作品だ。このドラマはある家族を通じて地雷のように散らばっているさまざまな形の不倫を総網羅して羅列するスタイルで古臭さを感じさせない。

 パン・ソンムン(ソン・ヒョンジュ)とオ・ミジャ(チョ・ウンスク)、メン・ヨンイ(イ・テラン)とイ・ジョンド(チャン・ドンジク)、チョン・ウォンマン(クォン・ヘヒョ)の不倫は、この時代に生きる中年男女の不貞という点で軌道を共にしているが、形態は少しずつ異なる。貧困の突破口としての選択(オ・ミジャ)、切ない初恋の延長(イ・テラン)、倦怠感に満ちた日常からの逸脱(チョン・ウォンマン)…。小姑ミス・ボン(キム・ジヨン)の存在は既存世代の男性中心の封建文化が残した不倫の跡を見せる。ドラマ全体が巨大な不倫の輪舞となるわけだ。



 各カップルの不倫は血縁に重畳されながら誰も不倫に対してむやみと後ろ指を差すことが出来ない不条理な状況が演出される。夫の浮気に悩むメンスン(チェ・ジンシル)は妹の不倫を前にして言葉を失う。夫の浮気に苦痛を受けた姑(ナ・ムニ)は浮気する壻(クォン・ヘヒョ)に青筋を立てるが、息子の浮気には平静を装うとする。

 『バラ色の人生』から見える不倫の構図は、以前のドラマに登場する不倫に比べ、遥かに立体的でロマンスという華麗さがない。不倫ドラマの元祖と言われるMBCドラマ『恋人』(1996年)は一線を踏み切れない既婚男性と人妻の姿を通じて不倫がじめじめして不潔なものではなく「また別の形の愛」になれるという共感を得たが、ストーリー自体は単純だった。

 2000年代初めの不倫ドラマは「挑発」をテーマにして拡張した。40代の既婚男性と20代の未婚女性の年齢の差を越えた愛を描いたKBS『青い霧』(2001年)、40代末のシングルマザーと20代の男性部下の恋愛を描いた『孤独』(2003年)などは、素材の刺激性に比べドラマの構造が断片的すぎたという評価を受けた。

 不倫ドラマの進化について『バラ色の人生』のキム・ジョンチャン監督は「ドラマは現実の温度を感知して反映するもの。韓国社会が熱病のように病んでいる不倫をさまざまな観点から描いて共感を得ようとすれば、ドラマの中の不倫の形も複雑になる」と語った。

 文化評論家のキム・ジョンフィ氏は「不倫を単純に美化したり罪悪視したりする極端な方式での描き方は、これ以上視聴者にアピールすることは出来ない。そのため『バラ色の人生』のように不倫が抱いている『責任』に対する矛盾を正面から扱う真率な不倫ドラマが完成したようだ」と分析した。

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