女優のハ・ジウォンが、今年9月8日に上映開始となる映画『刑事Duelist』(以下、『刑事』/李明世(イ・ミョンセ)監督/制作:プロダクションM、ウェルメイド・エンターテインメント)で、アクション演技とラブストーリーの両方で新たな一歩を準備している。
李明世監督が7年ぶりメガホンを握る新作『刑事』は、「たった1度の対決、たった1度の愛」というコピーからも分かるように、アクションとラブストーリーが溶け合った作品。ハ・ジウォンは気性が荒っぽくて激しい女刑事ナムスン役を演じ、神秘的な刺客“スルプンヌン(悲しい目、カン・ドンウォン扮す)”との対決と愛を描いた。
李明世監督がキャスティングの理由として明らかにしたように、ハ・ジウォンはアクションとラブストーリーの両演技で豊富な経験を持つという、韓国の映画界でも数少ない女優。
カリスマ性や切なさを表現する時の多彩な目つき、パワーを感じる節度あるアクション、ジャンルを越えた優れた演技力は、ハ・ジウォンの持つ長所だ。マニアが続出したというドラマ『茶母』で、ハ・ジウォンはこれらの長所を遺憾なく発揮して絶賛された。
だが、彼女がこのような評価を受けるまでに最も大きな助けとなったのは、持って生まれた“誠実さ”だ。ハ・ジウォンは、“ガリ勉”、“練習の虫”として定評があった女優。彼女は、新人の時から「演技に役立つこと」と称して乗馬やジャズダンスといった運動やダンスを一生懸命習ってきたことは、すでによく知られている話だ。
『刑事』では、短い両刀を駆使するナムスンのアクションが素早く敏速な動作を必要とするため、数々の困難な練習を積まねばならなかった。だが、“我の強い”ハ・ジウォンはそのすべてをやり遂げた。撮影前の3カ月間、1日に10時間以上を武術の練習につぎ込み、撮影開始後には照明を合わせるのにかかる3、4時間がもったいないと言って練習を続けていたほどだという。
撮影場には次のようなエピソードがある。今年3月、激しいアクションシーンを撮った後、監督の「カット!」の声とともにハ・ジウォンがその場に倒れた。すぐさま病院に移送されたハ・ジウォンは、医者から「首の骨にひびが入っている」と診断された。NGを出すまいと我慢して続け、監督のカットの合図を聞いて気を失ったというのだ。
武侠アクション映画が次から次へと制作されても適当な女優が見つからないと映画界が愚痴をこぼすなか、ハ・ジウォンの存在感は一層高まる。練習現場のマネジャーが、「見ているだけで恐ろしい」と話すハ・ジウォンのキックが、一体どのような姿でスクリーンに映し出されるのだろうか。
ハ・ジウォンが広告の撮影まで先送りしてこれまでの7カ月間をすべて捧げた映画『刑事』は、今年9月8日に予定されている観客との出会いを心待ちにしている。