朴贊郁監督が語る『親切なグムジャさん』のすべて


 「最後にグムジャさんがケーキに顔をうずめてすすり泣いている時、クンシクはなぜ愛するグムジャさんを見つめなかったんですか?」「復讐に関する作品を連続して制作して魂がすさんだとおっしゃいましたが、監督こそがこの映画で魂を救ってほしかったのではないのですか?」

 映画『親切なグムジャさん』の観客動員数が300万人を突破したことを記念し、10日にソウル市・九老(クロ)にあるCGV映画館で「朴賛郁(パク・チャンウク)監督と観客との対話」というイベントが行われた。

 普段は達筆・達弁で知られる朴監督も“熱狂的なファン”の予測不可能な質問責めに圧倒されていた。学生や会社員など同イベントに集まった20人余りのファンは、CGVで『親切なグムジャさん』の原本フィルム版とデジタル(白黒)版の両方とも見た観客のうち“祝福された”人たち。

 朴監督への質問の内容は、映画のシーンのうち観客の間で意見が分かれていた点を確認するものが多かった。「ジェニーはペク先生(崔岷植(チェ・ミンシク))の子供か?」という質問に対して朴監督が「ペク先生には妊娠させる能力がないというせりふが映画で出てくるのに、どうしてそのように誤解するのか分からん」と困り果てると、「監督の映画『復讐は我がもの』(日本題:『復讐者に憐れみを』)では、無政府主義者は1人というせりふがあったのに実際には大勢いた。今回も監督がわざとひねった可能性があると思った」とレベルの高い返答。以下は一問一答の内容。

-パク・ウォンモの魂がジェニーのもとに煙のような姿で現れるわけは?

 「一度も会ったことのない2人に会わせたかった。子ども同士って心が通じ合うでしょ。グムジャに会おうとして、ちょっとの差でジェニーだけに会うことになったとも考えられるし」

-グムジャが刑務所から出所した後にたばこを吸うシーンで、背景がゆらゆらと揺れるが、大麻を吸ったのか?ジェニーの養父母が吸っているたばこは何?

 「前者はただのたばこで、後者は大麻だ。ジェニーの両親は一般的に思われているような典型的な養父母ではなく、元ヒッピーだったというイメージを出したかった」



-映画のタイトルで、グムジャさんに“親切な”と付けた理由は?

 「復讐の楽しみを遺族に譲るから」

-最後にグムジャさんが作ったケーキは、ペク先生の血とは全く関係がないのか?

 「みんな誤解するが、全く関係ない。ケーキも別に真っ赤なわけでもないのに、みんな赤いケーキと記憶するようだ」

-クンシクがグムジャのことを見ない理由と、ジェニーが素足のわけは?

 「2つとも幻想世界のような非現実的なイメージにした。雪を踏んでも冷たさが分からない天使のようなイメージ。映画の中で最も非現実的な存在であるクンシクこそが本当の天使かも知れない」

-個人的には『復讐は我がもの』が一番好きだったが、監督自身は復讐3部作のうちどれに最も愛着があるのか?

 「『復讐は我がもの』が一番好きだと言う人が実に多いのだが、なぜ興行成績があんなに不振だったのか不明だ。わたしが書いた本が面白かったという読者は多いが、ほとんど売れなかった。みんな本を借りて読んだのかな?わたしは『スリーモンスター』(日本題:『美しい夜、残酷な朝』)が一番好きだ。リラックスして撮影できたし、内容が短いから恥ずかしい部分も短いので」

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