【コラム】韓国俳優に苦言を呈したカン・ウソク発言に思う

 忠武路(チュンムロ、韓国映画の中心地)が俳優の出演料問題で再び注目を集めています。

 最近、俳優の出演料は全体制作費の相当部分を占め、制作環境をさらに悪化させています。主演俳優の一人が全制作費の10%以上を手にする現状は、確かに非正常な構造的問題と言えます。

 大物俳優の出演料が5億ウォンを超えるようになってから随分と経ちますが、一人の主演俳優に全体制作費の10~15%を与えていては、シナリオから撮影やマーケティングに至るまでの制作過程を支えるスタッフたちは苦しくなる一方です。照明やカメラアシスタントなどの一部スタッフは、月に100万ウォンにも満たない収入で生活し、それさえも映画が失敗すれば踏み倒さることがあるのが実情です。

 主演俳優は初めから契約で出演料を確保してしまえば映画が失敗しようと関係がありません。これだけでしょうか?ランニングギャランティー形式での契約を確保すれば、映画がヒットした場合、出演料以外に莫大な収益を得ることもあります。

 最近、忠武路を代表する人物の一人、康祐碩(カン・ウソク)監督が記者との懇談会でこの問題について言及して、その深刻性が明らかにされたのです。もちろん今に始まった話ではありません。私のコラムでも昨年から何度も言及してきました。

 康監督は「韓国の俳優はカネのことばかり考えている」と実名まで挙げて「映画界全体が金儲けをして数人のスターに捧げる体たらく」と強く批判しました。 資本力やキャスティングなどで影響力を持つ自信が勇気を出させたのでしょう。 忠武路の制作者の間でも彼の発言に同調しようとする雰囲気が感じられます。

 最近は大物スターのほとんどが大手芸能プロダクションに所属、あるいは直接事務所を構えています。プロダクションと結託された俳優たちが共同制作と謳い、映画制作会社に収益の半分を出すように圧迫することもあります。

 しかし、実際に俳優が映画の成否に大きく影響するのが韓国映画の実情でもあります。シナリオから企画、ファンディングなど、万全の準備を整えても大物スターを確保できなければ興行的に期待できないという環境なのです。

 数年にわたる準備を重ね、ようやく映画を制作する機会に恵まれても、零細の制作会社は結局、主演俳優を確保するために不当な要求でも応じざるを得ない現実にぶつかります。

 演歌界のビッグ3が宋大寛(ソン・ デグァン)、雪雲道(ソル・ウンド)、太珍兒(テジナ)なら、忠武路俳優のビッグ3は宋康昊(ソン・ガンホ)、崔岷植(チェ・ミンシク)、薜景求(ソル・ギョング)の名前が挙げられます。康監督はこれらビッグ3に対しても誰が持分を要求する横暴を振るうのかまで具体的に指摘しました。監督は「こうした悪しき慣行が韓国映画界全体を共倒れさせる」と憂慮しました。

 もちろん「俳優によって成功の可否が決まる現在の環境を無視したまま出演料だけを指摘することにも問題がある」といった俳優たちの意見も理解できます。彼らはヒットを保障する絶対的な俳優が不足した市場論理を指摘します。誰にも責任を擦りつけることができない結局は構造的問題という意味です。

 康監督のこうした発言以降、プロダクションや俳優たちの集団反発はすぐに始まりました。

 ともかく1000万人観客動員突破や韓流ブーム以降、海外市場開拓など韓国映画のルネサンスが到来したと言われても、映画界の内部問題が深刻なことだけは明らかです。韓国映画はこのままの状態が続けば、一瞬にして咲き、一瞬にして散ってしまった過去の香港映画のようにならないかと心配になります。

『スポーツ朝鮮/オンラインニュースチーム長』

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