高校3年生から3歳の子どもまでの10人を連れ、山登りもして映画も観に行く韓石圭(ハン・ソッキュ)を想像してほしい。「CM撮影?」といった声が聞こえてきそうだが、これが違う。
「夫が5人兄弟の末っ子で、私が4人兄弟の末っ子です。甥たちとよく遊びに行ったりします」
一番上の甥が高校3年生。一番下は韓石圭の末っ子。「家族を最も重要な人生の価値と考える」と話す彼の普段の姿は、今までのCMや映画の中のシャープなイメージとは全く違う。
最近『ミスター主婦クイズ王』(ユ・ソンドン監督、ポルスターエンターテインメント)の撮影現場で会った韓石圭。久々のコメディだが、「作品のリズムに乗れた」という言葉通り、余裕に溢れて見えた。3歳、5歳、7歳の子育てのエピソードを交えながら今回の映画について語ってくれた。
秋夕(チュソク、旧盆)に公開予定の『ミスター主婦クイズ王』は「専業主夫」になったジンマン(韓石圭扮す)が妻(申恩慶(シン・ウンギョン)扮す)の給料を使ってしまい、これを返すためにテレビの『主婦クイズショー』に出演して起こるエピソードを描く映画。
「『カル』の時から次の作品は明るい映画に出たいと思っていました。『ミスター主婦クイズ王』は今の私に多くの面でぴったりの作品です」
『二重スパイ』『その時、その人々』などで演じた真摯なキャラクターに慣れたファンには驚きの変身となるだろう。劇中の韓石圭は食事を作るのは基本で、イワシを割き、キムチの漬け込みまでする。
そして横になってテレビを見る妻に果物を剥いて出すといった姿まで見せる。結婚前、母親からキムチの漬け方を学んだという韓石圭は、「だいたいの料理は作ることが出来る」と自信を語った。確かに今は妻がいて家では皿洗いもしないが、基本的なことは問題ないという意味だ。
『ミスター主婦クイズ王』で韓石圭は女装もした。よりによってその日に家族を撮影現場に呼んでいたが、厚化粧をした韓石圭を見て長男は泣き、二番目も怖いと言って逃げてしまったという。
「初めて挑むR12指定の映画です。家族全員が楽しめる映画だと思います」
「家に帰ると三番目の子どもが抱きついてきます。その瞬間が一番幸せです」と言う韓石圭。
ゴルファーのジャック・ニコラウスのように「そろそろ退くのが仲間やファン、自分のために良い」と思った時に引退すると話す韓石圭は明らかに成功した人物と言えよう。
「三人の子どものうち一人でも演技者になってくれたらと思います。演技者というのは本当に良い職業で、一生を捧げるだけの価値のある仕事だからです。私の作品を見る姿を想像すると自然に嬉しくなります」という言葉を自信一杯に語れるのだから。