大物俳優出演の韓国大作映画が相次ぎ興行不振

 ここで6月第一週に公開される映画に関するクイズを一問。

 韓石圭(ハン・ソッキュ)、薜景求(ソル・ギョング)、李炳憲(イ・ビョンホン)、崔岷植(チェ・ミンシク)、宋康昊(ソン・ガンホ)の共通点は?

答は二つ。一つ目の答えは「韓国映画最高の俳優」、二つ目は「最近、忠武路(チュンムロ、韓国映画の中心地)の期待を満足させることができなかったスター」たちの名前だ。それぞれ『スカーレットレター』『力道山』『甘い人生』『拳が泣く』『南極日記』の主演でもある。

 韓国映画を代表する俳優をキャスティングした大作映画が相次いで興行不振を経験している。総制作費110億ウォンを投じた『力道山』を筆頭に、2004年の韓国映画の平均制作費である43億ウォン(映像振興委員会推算)を大幅に超える大作映画が大ヒットを記録できず、マイナスを記録する現象が続出している。

 制作会社は具体的な実績内容の公開を避けているが、海外版権を除き自主的に損益分岐点を合わせようとすれば、『力道山』は370万人、『甘い人生』は210万人、『拳が泣く』は200万人、『南極日記』は280万人の観客を確保しなければならない。

 もちろん日本での公開を控えた『力道山』などは海外での反応が最後の成績を決めるが、ハリウッド大作が公開日程を延期するほど期待を集めた作品であったことを考慮した場合、興行成績は散々のレベルだ。一体何が起きているのか。

 まず挙げられるのは「スター神話」の崩壊だ。最近すっかり見る目の厳しくなった観客は、完璧のキャスティングと完成度の高いストーリーを兼ね備えていなければ、いくら大物俳優を投入しても関心を示さないというのだ。また、インターネットを通じて映画関連の情報をスポンジのように吸い込んだ若い観客は、公開前から映画を積極的に判断して、書き込みなどを通じていち早く情報を再生産する。

 公開直前に人気高校生スターのムン・グニョンが主演した映画『ダンサーの純情』が同じ週に公開した車勝元(チャ・スンウォン)主演映画『血の涙』に合計観客数で逆転されたことも盲目的なスター神話が消滅しているという良い例だ。

 また、無難ではあったが目立つことができなかった俳優の演技も観客の支持を得られず、むしろ個性的な助演俳優がこれらの演技を圧倒しているのが最近の傾向だ。こうした状況で4~5億ウォンの出演料を支払う最近のスターシステムは全面的な見直しを迫られている。

 もう一つは映画をエンターテインメントとして消費したい大衆観客と、監督らの「作家主義」に対する自意識、そして商業性を極大化しようとする映画マーケティングが互いに衝突しながら起る混乱する風景だ。

 3年ぶりの韓石圭カムバック作として話題を集めた『スカーレットレター』はスリラーをマーケティングコンセプトにしたが、公開後にピョン・ヒョク監督までが「スリラーではない」と否認するハプニングを演出した。

 また公開2週目にしてボックスオフィスの4位に急落した『南極日記』も同様に、初めは「ミステリー」として紹介されたが、実際の映画は人間の貪欲さを描いた内容だった。

 『力道山』『甘い人生』『拳が泣く』もやはり、スポーツやノワールといったジャンルを期待して映画館を訪れた観客には監督の説教を聞かなければならない辛い時間になった。

 映画評論家のシム・ヨンソプ氏は「新人監督たちの意欲過剰と商業的なマーケティング、そして観客の欲求が衝突しながら最近の大作映画が相次いで失敗を繰り返えしているようだ。災いとまで表現する必要はないが、忠武路全体での省察が必要な時」と指摘した。

 しかし、興行失敗という言葉は悲劇と同義語だろう。ハリウッド的慣性を踏襲しないという監督の欲望は、長期的には他とは違う映画の生産地としての韓国を位置づけるのに助けとなるに違いない。広くはないが深刻さを増した韓国映画の興行失敗。まだまだドラマは終わらない見込みだ。

魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
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