好きな事も仕事にすれば退屈になる。インラインスケートの第一人者モギ(キム・ガンウ)が金のために体をワイヤーにつなぎ、映画のスタントマンを務めた時、彼は予想に反して失敗を繰り返す。そして静かにこう語った。「俺、怖かったよ。これからはやりたい時だけにするよ」
終始一貫して若さの力強いイメージが躍動する成長物語『台風太陽』でチョン・ジェウン監督が最も強調したい部分はこのシーンにあったのではないだろうか。何事も仕事にしてしまえば退屈なものだ。他人のことまで責任を取り、神経を使わなければならない大人の生き方。若いモギは結局ワイヤーなしで素晴らしい滑りを見せた後、撮影監督に向かって突進してカメラを壊してしまう。
『台風太陽』はそんな映画だ。虚しい日常を過ごす20代初めの女性の生き方に注目した『子猫をお願い』以降、チョン監督の関心は大きく変わらなかったようだ。30代半ばを過ぎた少年のような雰囲気を持つこの女性監督は、相変らず 「若さ」と「成長」を扱っている。変わった点といえば『台風太陽』は『子猫をお願い』の男性バージョンで、インラインスケートを素材にしたことで遥かに躍動的になったということだ。
この成長物語の主役は4人のスケーター。エクストリームスポーツの快感を楽しむ23歳のモギ、モギの滑りに魅かれて寝る時も足を動かす高校生のソヨ(チョン・ジョンミョン)、そして後に黙々とこの世間知らずたちの面倒を見てチームを率いるカッバ(イ・チョニ)の3人はインラインに青春を捧げ、紅一点のハンジュ(チョ・イジン)はモギの恋人でソヨの片思いだ。
ドラマ『私は走る』、映画『シルミド/SILMIDO』などで溌剌としたイメージを印象付けたキム・ガンウは反抗的な役に挑み、まだスクリーンでは見慣れないチョン・ジョンミョンは繊細な面とインパクトを同時に持ち合わせた立体的キャラクターを印象的に演じた。
青春というイメージのみを消費する商業映画の使い捨ての視線とは異なり、チョン・ジェウン監督が描き出す青春の風景は、何度も省察を繰り返させる。親との不仲を心の中にしまうソヨ、ソヨとモギの間で迷うハンジュ、自意識過剰だが能力が追いつかないカッバの挫折は、今を生きる若者たちの日常と特別違わない。
チョン・ジェウン監督は今回も観客が想像する青春映画のファンタジーを裏切り、3人を学校や軍隊に送り込む。もちろん「荒々しい台風と熱い太陽」というPR用のテーマを解決されない課題として残して…。公開は3日。