海洋大作『台風』で新たな境地を開く俳優チャン・ドンゴン

 二枚目、優等生、都会的、努力派…。俳優の張東健(チャン・ドンゴン)に付けられる主な修飾語だ。知的なルックスと真面目さで、悪役を演じても好感度の下がらない俳優。そんな張東健がクァク・キョンテク監督の新作『台風』で海賊役に挑んだ。

 現在、釜山(プサン)で撮影中の『台風』は撮影期間8か月で制作費だけで130億ウォンを投じた海洋大作。

 張東健は韓半島でテロを起こそうとする海賊役で、 日本軍将校に扮した李政宰(イ・ジョンジェ)との対決を見せる。現在約70%の撮影が完了している。

 海賊でテロリストの張東健とは想像し難い設定だ。デビューしてから今年で12年目だが、相変らず彼は韓国を代表する二枚目スターとして知られる。

 鋭い眼差しを持ち、これといったスキャンダルや暴力事件で社会を騒がせたこともない張東健が海賊船に乗って韓半島でテロを起こすとは…。すでに『台風』のキャスティングに首を傾げる人も多い。

 しかし張東健本人の覚悟は固い。張東健は今回の映画を通じて「誰もが予想することが出来なかった新たな姿を見せたい」と語ってきた。クァク監督は2001年の『友へ チング』で「俺がお前のパシリか?」「お前が行け、ハワイに」といった台詞で張東健のまた新たな面を引き出した人物。

 制作陣は今回もクァク監督が張東健から強い俳優のカリスマを引き出すと期待している。人間的な信頼で結ばれた二人は互いの目を見ただけで意思疎通が出来るほどだ。


 張東健の俳優人生は二枚目のルックスが与える先入観を壊すための過程だった。10年前『私たちの天国』に大学生役でデビューしてからの一年間、好青年のイメージで活動した張東健は、この5~6年間はタフなアクションや狂気じみた悪役を中心に演じてきた。

 1999年の『NOWHERE ノーウェアー』は張東健に新たな可能性を開き、『友へ チング』への出演以降は完全なる演技派俳優に生まれ変わった。2002年には出演料を考えず鬼才・金基徳(キム・ギドク)監督の『海岸線』に出演したことで張東健は俳優として新たな境地を開いた。

 2003年、張東健は姜帝圭(カン・ジェギュ)監督の『ブラザーフッド』で新たな金字塔を打ち立てた。『ブラザーフッド』は1000万人の観客動員を記録したのだ。アジアのスターに成長した張東健は『台風』と共に昨年、中国のチェン・カイコー監督の新作『THE PROMISE-無極-』にも主演にキャスティングされた。


 韓国より高い出演料を受け、韓国料理を作る専門の料理人が付く超VIP待遇でだ。日本の真田広之、香港のセシリア・チャンと共演した『無極』は、300億ウォン規模のハリウッド資本で制作され、『マトリックス』の武術監督と『グリーン・デスティニー』の撮影チームが参加したアジア最高レベルの大作映画だ。

 『無極』は12月頃、韓国映画の超大作『台風』はその前の秋夕(チュソク、旧盆)頃に公開される予定だ。

 張東健がこの2本の超大作を通じて「韓国を代表する二枚目俳優」から「韓国を代表する俳優」に生まれ変わることが出来るか、秋には明らかになる。

李自妍(イ・ジャヨン)記者 achim@chosun.com
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