都会のビル群が一人の声から放たれる猛烈なパワーに包み込まれた。市民5万人の歓声と声援があったから可能な事だった。先月30日夜、「Hi Seoulフェスティバル」の前夜祭としてソウル市庁前広場で行われた趙容弼(チョー・ヨンピル)コンサート。
韓国大衆音楽界の巨星を一目見ようと市民らは公演開始4~5時間前から会場に足を運び、芝生の見晴らし良い場所を取り始めた。そして午後7時40分、「いつかの日だか私のために花束をくれたあの少女…」と趙容弼が1曲目の『タンバルモリ(おかっぱ頭)』を歌い始めると、30~40代の主婦から黄色い声が飛び、20代の女性も声援を送った。
常識を覆す舞台演出でミュージカルを彷彿とさせる公演を繰り広げた趙容弼は、オーディエンスと呼吸を合わせることに重点を置いた。『Q』『友よ』などの過去のヒット曲を歌って自然なハーモニーを演出した。父親に肩車された子どもから、5~6人のグループでやってきた60代以上の人々まで、一つになってペンライトを振った。
公演の中盤、趙容弼は闇を裂く照明の光と共に強烈なロックナンバー『太陽の目』を熱唱して観客を圧倒した。清渓川(チョンゲチョン)の復元を記念して歌った『清渓川』は清々しく歌われた。観客のボルテージは後半の『ソウルソウルソウル』で頂点に達した。5万人全員がその場に立って合唱する姿が演出され、最後の曲『旅に出ます』までその勢いは止まなかった。
ステージが見えにくい徳寿宮(トクスグン)前の歩道までぎっしりと埋め尽くしたソウル市民。常に新しい姿を披露して全ての世代に感動を与える趙容弼と音楽が持つ計り知れぬ壮大なパワーだった。