映画『南極日記』で2か月の海外ロケを行ったソン・ガンホ

 5月19日に公開される『南極日記』(イム・ピルソン監督、サイダスピクチャーズ制作)で宋康昊(ソン・ガンホ)は冷たく毒々しい姿を見せる。期待半分、不安半分。しかし、非常に気になるのは事実。宋康昊ではないのか。そういった点では一先ず成功だろう。

 「非常に自信がある。大衆映画として絶対恥じない映画だ」

 果してどうだろうか。『南極日記』は南極探検隊の話だ。しかし、逆境と苦難を乗り越えた人間の勝利を描いてはいない。極限状態に瀕した人間たちの変化を捉えている。ここにミステリーをも加味した。スクリーンには白い雪と氷だけが広がるが、映像を覆う感性は反対で非常に暗い。

 「暗いと感じるかも知れないが、ホラー映画のような暗さはない。それにミステリーを導入しているが、ミステリーのジャンルでもない。人々はこの映画に犯人や反転があるはずだと推測するが、そうではない」

 あまりにも抽象的すぎる。反転もないという意味か?もう少し具体的に言ってほしい。それなら『南極日記』の楽しさはどこにあるのか。

 宋康昊は今回の映画で南極探険隊の隊長を演じている。探険途中にベースキャンプとの交信は切れ、食糧は底が見える。気象状況の悪化と共に謎の事件が続く。こうした状況で隊長は絶対的な権力を握るようになる。宋康昊が悪役を引き受けたのだろうか。

 『南極日記』は南極では撮影しなかった。南極と最も似ているニュージーランドで2か月にわたって撮影をした。

 「外国での2か月にわたる撮影は制作費の面で韓国とは比較にならないほど落差があった。現地ではスタッフが家の玄関を出てから再び帰って来るまでの給料が支給される。約束された時間になれば何も言わずに荷物をまとめる彼らの姿に初めは本当に慣れなかった」

 こうした一連の過程で宋康昊は韓国での映画撮影がどんなに幸せなことかを改めて感じたと言う。

 「韓国映画がここまで発展したのは、スタッフの映画に対する夢と犠牲ではなく犠牲を担保にしたからだということを今更ながらに感じた。窮極的には彼らの正確なシステムが望ましいかは分からない。たとえそうだとしても映画は産業以前に芸術ではないか。そうやって計算だけ先に立たせれば望むような作品は生まれにくいだろう」

 どうか、その姿が変わらないことを願うばかりだ。

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