「ヨン様の国、韓国に来てみたかったです」
昨年のカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した映画『誰も知らない』の柳楽優弥(15)が21日、韓国を訪問した。
4月1日に韓国で公開される『誰も知らない』は両親がいない4人の子供の話を落ち着いたトーンで誇張なく描いた映画。是枝裕和監督が演出し、昨年映画雑誌「キネマ旬報」が選ぶ最高の日本映画に選ばれている。
『誰も知らない』で明役を演じた柳楽優弥は史上最年少の14歳という若さで昨年のカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞した。
21日、ソウル市内の新羅(シルラ)ホテルでインタビューした柳楽優弥は「日本のテレビでペ・ヨンジュンさんの姿を良く見た。ペ・ヨンジュンさんを見て韓国に行ってみたいと思うようになった」と初訪韓の感想を語った。
カンヌ受賞後にも一本の映画に出演したが、柳楽優弥はスターというよりは平凡な10代の姿そのものだった。シャイな性格なうえインタビューにも慣れないせいか、最後まで落ち着かない様子だったが、質問に答える姿からは正直な一面が見えた。
「ヨン様の国」韓国へ来て先ず感じたことは、日本語を話す人が多いことだという。柳楽優弥は「日本語で『ありがとうございます』、『こんにちは』と言うと日本語で返事をしてくれたのが驚きだった。短い日程だが韓国に来られて嬉しい」と語った。
『誰も知らない』は柳楽優弥の初出演映画。普通の家庭で育った柳楽優弥にとって映画の「捨てられた子ども」という役は慣れない存在だった。
そんな柳楽優弥に監督が要求したことは「シナリオがあっても絶対にシナリオを読まないこと」だった。監督は代わりに耳元で台詞を聞かせて自然に口から言葉が出てくるようにした。
柳楽優弥はカンヌ映画祭での受賞時、学校の中間テストを優先させて帰国し、授賞式に出席することができず世界的な話題になった。
真夜中に映画会社の関係者から受賞の知らせを聞いた柳楽優弥は「意外だったが本当に嬉しかった。家族が受賞の知らせを聞いてから、しばらく寝られなかった」とその時の様子を振り返った。
「特別な変化はない」と受賞後の生活を説明した柳楽優弥だが、実際には女性ファンからファンレターが届くようになった。サッカー選手と俳優で進路を迷っていたが、カンヌ受賞でその答えが出たようだ。
サッカーを楽しむ時間は以前に比べて減ったが、その代わりに新作映画『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』に出演することができた。「ゾウの調教師を夢見る少年がタイに渡り、調教師になるという内容の映画」と新作映画を説明する柳楽優弥に演技の魅力は何かを聞いた。
「以前から真面目に俳優になりたいと思っていました。多くの人の人生を演じたいと思っていました。人の人生を体験できることが俳優の一番の魅力です」
柳楽優弥は21日、ソウル・鐘路(チョンノ)のシネコアで行われる特別試写会に出席後、22日に帰国する予定だ。