昨年来韓したトニー・レオンとのグラビア撮影を終えたイ・ウンジュは「トニー・レオンと映画に出てみたい。できれば恋愛映画がいい」と話した。同じパープル系の服でコーディネートし、お似合いだった2人が映画で共演することは永遠になくなった。
22日、25歳の若さで自ら命を絶ったイ・ウンジュは、若手女優の中でもトップクラスだった。遺作となった『朱紅文字』(2004)での大胆な演技で、20代前半の役者には期待するのが難しい円熟した演技を見せ、韓国映画界の監督たちに最も愛される女優の一人だった。
釜山(プサン)映画祭のクロージング作品だったこの映画の過激な露出シーンに対し、イ・ウンジュは「確かに大変だった。でもそれは職業的な困難に過ぎない」と堂々と語っていた。
スターとしての資質を持ちながら、「演技者」であることを望んでいたイ・ウンジュは、監督と積極的に映画について話し合う女優だった。
イ・ウンジュと仕事をしたある監督は「大衆よりも監督に愛される女優であるのは事実だ。彼女は撮影だけして現場を去る女優ではなく、スタッフにパワーをくれる女優」と話した。
『バンジージャンプをする』の李炳憲(イ・ビョンホン)は「とてもショックだ。考えられないこと」と哀悼し、パダ、キム・ジョンヒョン、エリック、オム・ジウォン、キム・ジス、キム・ジュヒョク、ト・ジウォンらが焼香に訪れた。
群山(クンサン)のヨングァン高校在学中、制服モデルに選ばれ、1997年のKBS青少年ドラマ『スタート』出演を皮切りに女優の道を歩み始めたイ・ウンジュは、2000年のSBSドラマ『KAIST』でクールな理系学生を演じ、新たな女子大生像を作り出した。昨年のMBCドラマ『火の鳥』ではさらに大きくなった存在感を証明した。
しかし、イ・ウンジュが本当に愛したのは映画だった。『虹鱒』(1999)でデビューしたイ・ウンジュは翌年、洪尚秀(ホン・サンス)監督の『オー! スジョン』を通じて映画界でも注目され、この映画で大鐘(テジョン)賞新人演技賞を受賞した。
『バンジージャンプをする』でイン・テヒ役を演じたイ・ウンジュは、切ないラブストーリーのヒロインとして新境地を開いた。『恋愛小説』『白い部屋』『空の庭園』『アンニョン! UFO』は興行的にそれほど成功しなかったが、「出演作ひとつひとつに強い愛情を感じていた」という知人の言葉からすると、イ・ウンジュは人気よりも演技を愛してたようだ。
1000万人以上を動員した『太極旗を翻して』(日本タイトル『ブラザーフッド』)の悲劇のヒロインを通じて時代物でも手ごたえをつかんだイ・ウンジュの演技力が、さらに向上したことを証明した映画が『朱紅文字』だった。
クラブのシンガーとして出演し、コーラスの『Only When I Sleep』を歌ったイ・ウンジュは、この映画で持っているもの全てを出し切り、韓国映画界の次代を担う女優となったことを示した。
しかし最近、イ・ウンジュは深刻なうつ病を患い、不幸な日々を送っていたことが分かった。望んだ映画に出演できず嘆いていたとも、それよりも現実的な問題に悩んでいたとも言われている。
どれも不確実だが、これだけは確実だ。われわれは今後、多くの作品を残したであろう女優を一人失ったということだ。雪の舞う2005年2月22日午後1時20分頃に。