「春史」こと羅雲奎(ナ・ウンギュ)の映画『アリラン』が韓国に戻ってくるか。
日本の文化庁の寺脇研文化部長は15日、本紙とのインタビューで、「最近亡くなった安倍善重氏の遺品が日本の国家財産に帰属し、この中に『アリラン』のフィルムがあれば、複写本を韓国と共有したい」と話した。寺脇研文化部長は『アリラン』のフィルム問題と関連した日本の最高実務責任者だ。
日本統治時代の韓国映画で最高傑作とされる羅雲奎の『アリラン』は韓国戦争当時に流失したとされているが、日本の著名な映画コレクター安倍善重氏が約10年前に日本メディアに紹介した所蔵映画リストに『アリラン』が入っており、注目された。
1926年に制作された『アリラン』は羅雲奎が監督・主演を務めた無声映画だ。上映当時、主人公が連行されるラストシーンで観客は涙を流し、歌『アリラン』を歌ったとされている。
しかし安倍氏は、フィルムを返還して欲しいという南北韓の関係者の要請を拒否しただけでなく、公開することさえ拒んだ。その後、今年2月9日に安倍氏が亡くなり、現在のところ、相続人が現れず、5万本のフィルムは日本の国家財産に帰属する可能性が高い状態だ。
寺脇部長は、「相続人であると主張する人が現れなくても、故人の財産が国に帰属する手続きに時間がかかり、また膨大なフィルムを調査するのも容易なことではない」とし、「しかし、映画が見付かれば共有する考え」と述べた。
ただ、安倍氏が所蔵していたフィルムの中から『アリラン』が発見されたとしても、はたして映画の鑑賞に耐えうる保存状態かどうかについては懐疑的な見方もある。
生前に安倍氏に映画『アリラン』返還を継続的に要請してきたアリラン映画会のキム・ヨンガプ常任理事とチョン・スンマン事務理事は14日、大阪の安倍氏の自宅を訪問した。安倍氏宅は廃屋を彷彿とさせるほどに荒れ果てていたが、青いビニールシートで覆われたフィルムの山が路上にまで溢れていた。
キム理事は、「一部は水に濡れていることまで確認できた」とし、「これ以上の資料損失が起きないよう日本政府が速やかに対策を講じてほしい」と話している。
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