【映画レビュー】「A型女性はB型男性の“カモ”?」  『B彼』

 血液型で人間の性格を判断できるという説は根拠に乏しい。全部で4つしかないタイプで60億世界人口を分類できるならば、どれだけ世界が変貌するだろうかと思うが、それ以上でもそれ以下でもない根拠のなさのため、現代人は一層血液型による性格分けに執着するのかもしれない。答えが容易に得られないほど、人は単純明快な主張に依存したくなるものだから。

 映画『B型の彼氏』は血液型で人間を分類できると思っている人たちをターゲットに企画された。簡単に要約すると、B型男性とその「カモ」とされるA型女性の恋を扱ったロマンチックコメディー。何事にも気が小さいA型女性の女子大生ハミ(ハン・ジヘ)は自分勝手な典型的B型男性であるヨンビン(イ・ドンゴン/写真)と偶然街中でぶつかる。紆余曲折の末、携帯電話まで壊れたハミ。

 しかし、少し前に誰かに誤って文字メールを送ったのがヨンビンの携帯電話に届いているのを発見すると、「これは運命」と信じ込んでしまう。ハミはB型男性の「カモ」役を忠実にこなし、恋が始まる。

 今流行の素材で、より中身の濃いドラマを作ることができたであろう同映画はまさにその流行のわなに陥っている。

 イ・ドンゴンとハン・ジヘの血液型のタイプだけにこだわる映画は2人のキャラクターの立体的な性格を見せてはくれず、性格破綻者のB型と優柔不断なA型の描写にのみ集中している。

 ハミの友人たちにワインを買いながらも勘定はカードで支払い、カード負債を返済してあげるという友人に自分の彼女を引き渡すシーンには目を背けたくなる。

 劇中、A型のハミは最近の都会の女子大生にしては信じられないほど従順型キャラクターで観客の時計を過去に引き戻す。イ・ドンゴンが見せてくれるマジックショーと歌のコンサート、そしてハン・ジヘの親戚のお姉さん役で出演しているシニのコメディー演技が救いだ。けれども、真の問題は既に血液型シンドロームの賞味期限が過ぎ去ったことではないだろうか。

オ・スウン記者 jan10@chosun.com
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