「前作よりドラマ性重視した」 『公共の敵2』康祐碩監督 

 映画『実尾島』(日本タイトル『シルミド/SILMIDO』)で韓国映画史上初の観客動員1000万人の大台を突破した康祐碩(カン・ウソク)監督が手がけた新作『公共の敵2』が27日から公開される。

 『公共の敵2』は前作に続いて“公共の敵”と対立する主人公、カン・チョルジュンの話しが描かれている。

 前回の舞台は警察だったが、今回は検察。前編に続いて主演に抜擢された薜景求(ソル・ギョング)は多血質の検事役を演じ、彼の敵となる悪役には鄭俊浩(チョン・ジュノ)がキャスティングされた。

 18日、『公共の敵2』の初の試写会後に記者会見を行った康監督は「今まで作った映画の中で最も思考方式が反映されている映画」と紹介し、「ドラマ性を高め、見た目はそう見えないが中身はどす黒い本物の公共の敵を描こうと思った」と映画を説明した。

 以下は一問一答。

―続編というプレッシャーはなかったか。

 「『トゥー・カップス2』の時もそうだったが、今回も始める前から『なぜ続編を作る必要があるのか』というプレッシャーがあった。続編を作るにはそれだけの理由がなくてはならないからだ。今回の続編ではドラマ性を高めようとした。このためチョルジュンの子どもの頃のシーンやオートバイシーンは、キム・サンジン、チャン・ユンヒョンの両監督に任せた。アクションシーンをやってくれるなら、残りのストーリーは自分が完璧に仕上げると約束した。二人の監督とは以前から親しく、今回の頼みもすぐに快諾してくれた」

― 薜景求と鄭俊浩の二人には何を注文したか。

 「薜景求には特別な注文はしなかった。言っても自然に役になりきれといった程度だ。『力道山』への出演直後のため台詞の問題が多かった。それでも最後まで適当にOKは出さなかった。私があまりにも多く気を揉んだため、恐らくこれからは一緒に映画を撮らないだろう(笑)。映画の勝敗を分けるのは、むしろ薜景求よりは鄭俊浩だと思った。観客はどんな敵か気になるはずだ。どうやって敵を処理するかということよりもだ。表面に現れる行為よりは中身がもっとあくどい、そのために観客が一緒に怒ることのできる、そんな公共の敵を演じてほしいと注文した。二人と映画を撮ることが出来て幸せだった。特に鄭俊浩とはまた一緒にやりたいと思った」

―映画の中で悪役である「公共の敵」を隠さずに最初から登場させたが。

 「隠すよりも始めから悪役を出して本当の意味での“公共の敵”という印象を与えたかった。そして、許すか許すまいかと思わせて結局は許さないという方向に導こうとした」

―最近になって社会性のある作品に傾いているようだが。

 「『公共の敵2』は今まで作った映画の中で最も思考方式が反映されている映画だと思う。ある現象や歴史的な素材が土台にならなければ撮りたいと思わないようだ。実のところは『実尾島』のように物量を投じて体力的にきつい映画よりも『公共の敵2』のような映画がもっと難しい。笑って、泣いてといった具合に観客と正面から向き合わなければならないからだ。毎日のように頭を使って寝る時間もないほどに苦労して撮った映画だ。次の映画は思い切り笑っても何かを得ることの出来る、そんな映画を作りたいと思う」

―上映時間が146分と他の映画よりも多少長いようだが。

 「長いが退屈ではないと思う」

―検察の協力を得て撮影が行われたが、映画の内容に関して検察と意見の食い違うことはなかったのか。

 「格好よく作ってくれといった具合の要望は一つもなかった。むしろ美化し過ぎて文句を言われないようにしてほしいという要請はあった。公権力を美化することは観客も好まない。12年前に『トゥー・カップス』を制作した時とは時代が随分と変わった。当時は腐敗する姿を描くことで観客が喜んでくれたが、今は正義を描くことで観客がもっと喜んでくれるようだ」

―シリーズ3作目を制作する予定はないか。

 「続編は前編が観客に支持された時にはじめて制作が可能になる。『面白い』或いは『意味深い』といった反応があれば3作目も可能だろう。シリーズ制作に対する強迫観念はないが、今後2~3年に一本ずつ作られるようなシリーズになればと思う。シリーズ3作目を作るとしたら、もう少し庶民の姿を描いてみたいと思う。非常に小さな事件が大きくなりながら、『これこそが公共の敵だ』ということを見せるように」

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