ドラマ『春の日』ヒットのキーワードは「3S」

 週末に放送されているSBSドラマ『春の日』が放送開始から2週目にして週間視聴率(28.9%)のトップに躍り出た。

 『春の日』のストーリーはたった4回目にしてすべてを現した。出生の秘密(異母兄弟)や記憶喪失、三角関係、王子様を連想させる財閥の御曹司と一般女性の恋愛といった最近の韓国ドラマの典型そのままである『春の日』は、逆説的にそうした有り触れた話しをどう変化させて視聴者を集めるかを見せるドラマかも知れない。

 東南アジアや日本で韓流ブームを巻き起こし、2000年代の韓国の最も優れた文化コンテンツとなったドラマの発展なのか、それとも単なる複製なのか。韓国ドラマの強みであると同時に弱点でもある典型的パターンを『春の日』はどう打ち破っていくのだろうか。

 17日、ポタールサイト「ネイバー」の人気検索語で常に上位をキープしているこのドラマの3つのキーワードは「スター」(Star)、「スピード」(Speed)、「秘密」(Secret)の「3S」だ。



▲STARS、華麗な出演陣=10年ぶりにカムバックしたコ・ヒョンジョンと『バリで起こったこと』(日本タイトル『バリでの出来事』)でスターダムにのし上がったチョ・インソンというスターが第一の武器だ。第1~2話で化粧っ気のない素顔で失語症のジョンウンを演じたコ・ヒョンジョンが先ず視聴者の心をとらえた。

 今月16日夜、ウノ(池珍煕(チ・ジニ)扮す)の父親から「いつ行っても構わない」という言葉を聞きながら見せた聞いているような、そうでないような物悲しい表情が大きな話題になった。

 ウンソプ役を演じるチョ・インソンも『バリで起こったこと』から一歩成長した姿を見せている。世間知らずの御曹司ジェミン(バリで起こったこと)や院長の息子ウンソプは定型化されやすい役だ。

 しかし、『春の日』のウンソプを「患者さえ見ればパニックに陥る」といった漫画的キャラクターで描くことで立体感を出した。

 ネット上では4回までに最も成功したキャラクターとして断トツで池珍煕 (ウノ)の名前が多く挙がっている。決して怒らないソフトなイメージは主な視聴者層である女性たちの母性本能を刺激した。

▲SPEED、 早いストーリー展開=初回からスピーディーな展開と時間に逆らう映画的編集で目を引いた。生母の元を訪ねたウノが事故に遭った姿を先に見せ、それから生母に会って事故に遭うまでを遡るといった倒置法はさらにスピード感を増幅させる。コ・ヒョンジョンが言葉を取り戻したシーンや交通事故などが、ドラマの前半部分にすべて登場させることで同時に後半部分への速度を増加させている。

 金鐘学(キム・ジョンハク)監督は「キャラクターの説明に時間を割けば視聴者の関心が逸れる危険性があって意図的に展開を早くした」と説明した。視聴者の反応を見ても、今のところは制作陣の予想が的中しているように見える。

▲SECRET、家族史の秘密=異母兄弟、異母姉妹など「出生の秘密」は韓国ドラマの必須アイテム。父親を知らない『冬のソナタ』のチュンサン、実母に捨てられた『ごめん、愛してる』のムヒョクなど、すべてが自分の出生の謎を追う過程がドラマの大きな比重を占めている。

 異母兄弟のウノとウンソプ、ウノの母親(李鏡珍(イ・ギョンジン)扮す)が仄めかした新しい母親(李輝香(イ・フィヒャン)扮す)と父親の再婚過程など、「家族史の秘密」が『春の日』でも核心となっている。

 今までのドラマとの違いは、序盤からこうした秘密の相当部分を明かしているという点だ。最近の似たような内容のドラマが濫立している現実で、すべてを成功の方程式に当てはめることは、むしろ危険なことかも知れない。

 全20話の放送が予定されている『春の日』は、現在第6話のロケを行っている。『春の日』が序盤の勢いを守ってヒットを続けるのか、若しくは韓流を引き続き維持するための一段階発展したドラマコンテンツとなるのか、これらはすべて今後展開される秘密(secret)や速度(speed)にかかっている。

シン・ドンフン記者 dhshin@chosun.com
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