超低予算デジタル映画『羽』を制作した宋一坤監督

 「10年後の今日、この場所でまた会おう」という若い恋人たちの約束はどれほど呆気なく虚しいだろうか。そして、実際に10年の月日が流れ、一人約束の場所に現れる30代半ばの男性はどんなに寂しいことか。

 宋一坤(ソン・イルゴン)監督(35)の3番目の作品『羽』はそんな話を扱っている。この映画は制作費7000万ウォンの超低予算デジタル映画だ。制作費に何百億ウォンと投じるのが普通の韓国映画界で7000万ウォンという額がいかに少ないかがよく分かる。

 初の長編映画『花島』(日本タイトル『フラワー・アイランド』)で2001年のベネチア国際映画祭の新人監督賞を受賞し、昨年の夏にはミステリー『蜘蛛の森』で商業ジャンルでも独自の世界を披露した宋監督が、なぜ再び低予算映画に戻ったのか。

 「環境財団から制作費の全額支援を受けました。昨年の秋に行われた環境映画祭への出品が条件でした。映画祭に間に合わせるために作った映画に始めから手を加えて80分の長編として公開します」

 『蜘蛛の森』の主演俳優一人分の出演料にも及ばないこの額で、一体どうやって長編を作り上げたのか。監督は「ほとんど労動力の搾取に近かった」とばつが悪そうだった。

 「フィルム映画だったら基本的に不可能だったはずです。最低でも50人のスタッフが必要です。それでもデジタル映画なら、その3分の1でも可能です。『羽』の現場では総勢25人のスタッフが働きました。補修もあまりなく、親しいスタッフたちを誘って済州(チェジュ)島にピクニックに行く気分で撮影しました」

 『羽』は済州の飛楊(ピヤン)島でたった10日で撮影された。「去年の2月ごろ、『蜘蛛の森』の撮影の追い込みで本当に気力が尽きるような疲労を感じました。もうだめだと思って3日間だけ休んで初めて済州の飛揚島に行きました。そこでは昼寝をしたりゆっくりと休んで本当に心の底から癒されました」

 この才能ある若い監督は、4月に行われる第6回全州(チョンジュ)映画祭の「デジタル3人3色」にも招待された。カンヌ国際映画祭審査委員大賞を受賞したタイのアピチャポン・ウェラセタクル監督、『六月の蛇』で知られる日本の塚本晋也監督と共にデジタルカメラで撮影したオムニバスプロジェクトだ。

 現在、予定されているタイトルは『魔法師たち』。宋監督は「解散したバンドの過去、現在、未来を描いた30分の短編で、全州映画祭から5000万ウォンの支援を受け、また別の超低予算映画になるだろう」と語った。

 宋監督は「制作費は少ないかも知れないが、7000万ウォンだろうが、100億ウォンだろうが映画の力は変わらないということを見せたい」と力強く語った。

魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
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