ハ・ジウォン主演のロマンティックファンタジー『あしながおじさん』

 最高のキャスティング、女性に常にファンタジーを与える原作、涙を誘うラブストーリーの結合は、残念ながら本来の姿と企画意図が見えない抽象画になってしまった。

 放送局でラジオ作家を務めるヨンミ(ハ・ジウォン)には“あしながおじさん”がいる。正体を隠したまま4年間、大学の授業料を出してくれた有り難い恩人だ。地方の放送局に勤めることになったヨンミはディレクターの気遣いで海外研修に行って留守にしている放送局員の家に住むことになった。


 その家のパソコンから偶然見つけた電子メールには、切ない恋物語が書かれていた。10年間一人の人のことが好きだったが、突然自分を襲ったアルツハイマー病のために告白ができなくなったこの家に住む女性の初恋だった。ヨンミは放送局の資料室で働くジュノ(ジュノ)と恋に落ちるが、心が痛むアルツハイマーの女性の過去を追う。

 フレームの中で展開されるこの映画で観客は予測可能なすべてを目にすることになる。映画『私の頭の中の消しゴム』で描かれた「アルツハイマー患者の恋人に対する想い」が繰り返され、「探している人は身近にいる」という『あしながおじさん』の“教訓”も再三確認することができる。

 現段階で最も観客動員力を持つとされる女優のハ・ジウォンは、純粋だが平凡で飽きさせる演技を見せている。「デートの時も飲み会の気分にはならない」と言ってイディレクター(チョン・ジュナ)との交際を断るサブ作家のカン・ジョンジョン(シニ)の台詞にはウィットがあるが、他の出演者の演技には物足りなさを感じる。

 『あしながおじさん』は感動の映画だ。しかし、100分間を退屈に感じさせるこの映画は、ほとんどの少女が夢見るロマンチックファンタジーを退屈なラブストーリーにしてしまっている。13日から公開。

魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース