ドラマ『春の日』で真の俳優を目指すチョ・インソン

 一歩先を行くファッション、あどけない口調、極端な性格の『バリで起こったこと』(日本タイトル『バリでの出来事』)のジェミン。ドラマ『春の日』で華麗なカムバックを果たしたコ・ヒョンジョンの相手役コ・ウンソプ。アラブの王子というニックネームを持ち、自分の宝物だと言う地元・千戸(チョノ)洞に住む友人とソジュ(韓国焼酎)を酌み交わす身長187センチの美男子、チョ・インソン。

 ドラマ『バリで起こったこと』のヒットで視聴者を魅了したチョ・インソン。そんな彼が挙げた印象に残った今年の嬉しい出来事の一つは意外にも「張東健(チャン・ドンゴン)さんが青龍映画賞で主演男優賞を受賞したこと」だった。

 美男子の辛さは美男子だけが分かるのだろう。これまでにスターとして活躍し、俳優として栄誉ある賞まで手にした張東健の後継者になりたいのかも知れない。美男子であるということは、時には俳優を目指す者にとっては面倒な荷物となるからだ。チョ・インソンがこれまでに主演を務めてきた映画は成功よりも失敗作が多かった。

 チョ・インソンは出演した『マドレーヌ』のパク・クァンチュン監督から「私は君を信じている。君は私にとって最高の俳優だ。君はすぐに立派な俳優になるだろう」と言われたが、実感が湧かなかったと言う。

 それでも、『クラシック』(『ラブストーリー』)や多くのドラマで少しでも自分が輝けるようにと努力してくれたスタッフに対する感謝の気持ちだけは大きい。

 18歳でCMモデルとしてデビューしたチョ・インソンは、現在24歳だ。今までの道のりのすべては決して平坦なものではなかった。書類審査を通過してもオーディションに落ちてばかりという時代もあった。そのためか、今でもオーディションのことを思い出すと恐ろしいらしく、大勢が集まる台詞合わせの時には必要以上に緊張するという。本人は発音が一番の問題だと自分の短所を指摘する。

 そんなチョ・インソンには常に学ぶ姿勢がある。鄭雨盛(チョン・ウソン)が演出したミュージックビデオに出演しながら鄭雨盛という俳優が非常に細かいディテールにこだわり、完璧な演技を要求することに驚いた。『星を射る』で悩んでいた時には全度妍(チョン・ドヨン)から「欲望と満足」についてを学んだ。チョ・インソンは「特に梁東根(ヤン・ドングン)さんの演技を見ると自分もああ演じたいと正直、羨ましかったりする」と言う。

 あれ程の人気を誇った『バリで起こったこと』のジェミンが再び戻ってくるにもかかわらず、最近ロケを行っている『春の日』の話題の中心は専らコ・ヒョンジョンに向けられている。

 そのことについて残念だと思わないのかと聞くと、「心からコ・ヒョンジョンさんのドラマ復帰を祝いたかったし、近くにいるだけで幸せだ」という潔い答えが返ってきた。

 会う前までは美男子ということばかりを考えていたが、今はとても慎重で情熱的な、本当に今後が楽しみな一人の俳優に会ったという気持ちに変わった。

 ゆっくりと一歩ずつ前進する寛大で礼儀正しい青年に、今すぐルックスではない演技力を要求せず、じっとその時を持っていてほしいと思う。

『チョン・スンヘ/映画コラムニスト・シネワールド理事 msajah@hanmail.net 』

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