釜山国際映画祭に『花とアリス』を出品した岩井俊二監督

 『Love Letter』『四月物語』など叙情的な映像とストーリーで多くの韓国のファンを魅了した日本の岩井俊二監督(41)が新作『花とアリス』を釜山(プサン)国際映画祭に出品した。

 一人の青年のことを好きになった二人の少女の友情と愛を淡泊に描いたこの映画の監督は、肩まである長い髪を揺らす少女漫画の主人公のような表情をしていた。

-監督は40歳を過ぎているが今もなお10代の感受性を持っているようだが。

 「20~30代の時には映画のためにすべての時間を費やして記憶もあまり残っていない。ところが不思議なのは10代より前の記憶ははっきりと残っている。何故か2歳の時の記憶を鮮明に覚えている」

-今回の映画では編集と音楽も手がけたというが。

 「『四月物語』の時も匿名で音楽を手がけて後で結局ばれたので今回は初めから名乗った。好きな趣味のようなものだ」

-60年代に生まれた人は大衆文化の洗礼を受けた最初の世代だ。その世代の感受性は監督にどのような影響を及ぼしたか?

 「私たちよりも以前の世代とは大きなギャップがある。上の世代はどちらかといえば口数が多く、私たちはそれを嫌やがる。戦争を経験した世代とは違って私たちは子どもの頃から愛情を注がれて育ったので言葉があまり必要なくなったのだろうか」

-近頃の10代についてどう思うか?

 「最近の子どもたちは自分の欲するものが手に入らないと、すぐにキレてしまう。挙句の果てには自由や平和、愛までも、まるでコンビニに行けば買えるとでも思っている。『Love Letter』でも主人公が死んでから女性は自分の愛に気づくようになる。そうやってようやく得ることができるのが愛というものなのだ」

-『Love Letter』で長編デビューしてから10年。今の悩みは?

 「当時は『果して自分が映画というものを完成させることができるだろうか』みたいな悩みが多かった。

最近では次は何か違ったものを見せなければならないという悩みを持っている」

釜山=魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
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