「安重根(アン・ジュングン)義士のことを外科医なのか、内科医なのかと聞く若者がいるという話しを聞いて開いた口が塞がりませんでした」
10日に公開される映画『多黙 安重根』(徐世原(ソ・セウォン)監督、ソスウォンvロダクション制作)に主演した劉五性(ユ・オソン)は、韓国の間違った歴史教育にもどかしさを感じているようだった。
「国史が高校では選択科目だそうです。国史は国語と同じように必修科目であるべきでしょう。これだから安重根義士のことを医者だなんて勘違いするのです」
こうした側面からも『多黙 安重根』は安義士が独立運動家だったという事実を伝え、歴史教育の重要さを知るきっかけとなればというのが劉五性の話しだ。
また、故・鄭周永(チョン・ジュヨン)会長がかつて朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に牛を率いて訪問した程ではないが、南と北で偉人として知られる安義士の一代記を描いた今回の映画を北朝鮮でも上映して南北和解のムード作りに少しでも役立ちたいという期待も示した。
劉五性にとって今回の映画出演は自身を反省する機会にもなったという。
「最初は自分自身のことがとても恥ずかしく思いました。ところが段々と時間が経つにつれて誰もが安義士のようになれると思うようになりました。映画を観た皆さんもきっと同じ気持ちになるでしょう」
劉五性は安義士という人物を少しでも実際に近い形で演じるために感情移入を最低限に抑え、一定の距離感を保つようにしたという。
安義士が伊藤博文を暗殺した15の理由をエンディングで劉五性の声ではなく字幕処理したのもこうした理由のためだ。
しかし、こうした劉五性の演技は映画のドキュメンタリー性を高める一方で、映画的楽しみを半減させているという指摘があるのも事実。
劉五性もやはり「映画が多少窮屈になってしまった一面がある。もう少し感情的に演じる必要があった。中国の英雄・黄飛鴻を描いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』のように今回の映画も続編が作られるようになればと思う」と語った。
『スポーツ朝鮮/キム・ホヨン記者 allstar@sportschosun.com 』