【ルポ】空前の韓流ブームに沸くベトナム/3

 インドシナ半島の人口は8000万人のベトナムをはじめ、カンボジアやラオスなどを合わせると約1億人になり、多くの消費者が存在する巨大市場を形成している。

 特にベトナムの場合、文化、歴史的な同質性を持っており、人口の約半数が韓流に敏感な29歳以下の戦後世代であり、年平均7%以上の経済成長の維持と共に購買力が高まっているなど、決して無視できない巨大市場となっている。

 こうした現実で最高のブランドとして浮上した韓流ブームを持続させるためには、何よりも体系的で、長期的な戦略が必要だというのが専門家たちの指摘だ。特にドラマなどのエンターテインメント分野が韓流ブームの中心を担っている現実を考慮し、総合的な再点検が必要だと専門家らは説明する。

 専門家らのこうした指摘はドラマにはっきりと現れている。まず指摘されているのが内容の画一性だ。多くの韓国ドラマは主人公や主人公が最も愛する対象が不治の病でこの世を去るというものが多い。しかし、こうした展開は食傷気味であるのと同時に最終的には人気低下につながりかねず、今後の内容の多様性が要求されている。

 また、韓国の視聴者にも違和感を与えている財閥や特定集団内で起こる内容展開よりも、誰もが同感できるようなドラマ構成の方が長く支持されるようになると専門家らは口を揃える。

 これと共に韓国の歴史と文化を現地の人々でも簡単に理解することのできる『明成皇后』『朝鮮王朝五百年』『大長今』『茶母』などの時代劇の放送も増やすべきだという指摘もされている。

 一部の特定芸能人に出演者が偏っているのも問題点として指摘されている。ドラマの場合、第一世代の韓流スターと位置付けられている張東健(チャン・ドンゴン)、金喜善(キム・ヒソン)、キム・ナムジュ、安在旭(アン・ジェウク)の4人から、李英愛(イ・ヨンエ)、ペ・ヨンジュン、崔志宇(チェ・ジウ)、金賢珠(キム・ヒョンジュ)、ソ・ジソプ、宋慧喬(ソン・ヘギョ)、李炳憲(イ・ ビョンホン)、ウォン・ビンへと拡大しつつあるが、同じ俳優や女優の重複出演が多いため新鮮味に欠けるというのが指摘だ。

 専門家らはこうした韓流スターの一部は現地実情を知らない芸能プロダクションなどのミスで公演計画が中止となったり、現地事情に合わない発言などでファンを惑わせるケースも多いという。新鮮かつ演技力にも優れた新人を積極的に抜擢すべきだという指摘だ。

 体系的でない流通経路も問題だ。現在ベトナムで放送されている韓国の人気ドラマや映画の場合、ほとんどが韓国からではなく台湾や香港などの第3国を経由してベトナムに入っているという。

 これは韓国の制作会社や販売(配給)会社がベトナム市場の特性をしっかりと把握できていないうえに、ベトナム国内の輸入業者も完璧に理解していないことがこういう状況を招いている。

 ベトナムは年間に平均して20本以上の韓国ドラマを輸入している巨大市場だ。韓国内の関連企業の安易な考え方と中国などでヒットしたドラマを格安で手に入れようとするベトナムの関連企業との流通構造を改善しない限りは悪循環が続くしかないという説明だ。

 このため現地事情に詳しく、ドラマなど韓国のエンターテインメントを専門とする流通経路を確立することが急務だと専門家らは指摘する。

 専門家らはまた、▲韓国の芸能プロダクションが人気芸能人の現地公演を企画しながらも首都であり北部地域の中心地であるハノイではなくホーチミンばかりを好む差別的な姿勢▲ベトナム市場の潜在性を理解せず、現実にだけ安住しようとする芸能プロダクションや芸能人の消極性▲インターネットなどを通じて韓国の芸能事情に精通した現地ファンのレベルを無視して無名の新人などをスターと偽ってヒットさせようとする姿勢なども問題点として指摘した。

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