『スーパースターカム・サヨン』で投手役を演じた李凡秀

 「数日前、テレビでメダルを取れなかった選手たちが涙している姿を見ました。メダルを取った選手たちと同じように汗を流して努力をしたのに、世間は金メダルを取った選手しか記憶しないでしょう」

 李凡秀(イ・ボムス/34)は映画『スーパースターカム・サヨン』への出演を通じて「最高よりもベストを尽くす人生が美しいということが分かった」と語った。

 トップだけが印象に残る世の中。しかし、世の中の中心はトップの人間ではなくほとんどを占める一般の人々だ。

 9月17日に公開される映画『スーパースターカム・サヨン』(キム・ジョンヒョン監督、サイダス制作)は1982年のプロ野球元年に三美(サンミ)スーパースターズに在籍していた敗戦処理専門のカム・サヨン投手の実話を描いた映画。

 チームに左腕投手がいないという理由ひとつで入団テストを受けてプロ野球選手になったカム・サヨン投手は、5年間に1勝15敗1セーブという成績を残した。この映画は1勝に向けて渾身の力で勝負に挑む真のスーパースターの姿を描いている。

 右利きの李凡秀は左腕投手を演じるために4か月にわたって週に3回ずつマウンドに上がった。最初は砲丸投げのように感じられたボールも徐々に手に慣れてきたという。

 練習と同時にカム・サヨン氏と直接何度か会った李凡秀は、いつかまたマウンドに立つ日を夢見て欠かさず練習をしていたという彼の信念に感服したという。

 李凡秀は「自分自身がカム・サヨン投手だと思った。シナリオに目を通しながら、一言でもいいからとオーディションに通い詰めた15年前を思い出した」と語った。

 大学の演劇映画学科を卒業した李凡秀は「自分のできることは俳優しかない」と自分に言い聞かせながらひたすら耐えてきた。

 李凡秀は数え切れないほどのオーディションを受けては落ちるという日々を繰り返し、一歩ずつ歩んできた今までの軌跡を思い出している様子だった。

 李凡秀は「自分が演じれば上手くできるのに、何でこの監督は人を見る目がないのかと文句を言ったり、演技という才能を与えてくれた神にがっかりした」と振り返り、「自分と非常に似たキャラクターだっただけに最も期待が大きい作品」と自信を語った。

 「カム・サヨンさんが実在する人物だけに演じるのが非常に難しかった」と言う李凡秀は「カム・サヨンさんの息子さんがこの映画を見て父親のことを誇らしく思ってくれたらうれしい」と語った。

スポーツ朝鮮/キム・ソラ記者 soda@sportschosun.com
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