ベトナムの芸能専門誌『The Gioi dien anh』のホーチミン支社には最近、ある問い合わせの電話が殺到して業務に支障が出ている。
最近、放送が終了した韓国ドラマ『冬の恋歌』(日本タイトル『冬のソナタ』)に主演したペ・ヨンジュンがドラマでしていたマフラーはどこに売っているかという問い合わせの電話が絶えないためだ。
蒸し暑いベトナムでマフラーは必要ないが、これを求めるファンが急増している。
同様に最近放送されて爆発的なヒットとなった『天国の階段』に出演したクォン・サンウのポスターを手に入れなれなかったファンからポスター増刷の問い合わせ電話も殺到している。
ドラマ『花火』『医科兄弟』(日本タイトル『ドクターズ』)などを通じて多くのファンを獲得した李英愛(イ・ヨンエ)スタイルの化粧法は若い女性たちの間で定着しつつある。またドラマ『オールイン』に主演した宋慧喬(ソン・ヘギョ)が身に付けていた時計やネックレスなどのアクセサリーも全国で流行している。
これらはベトナムで普段から接することのできる韓流ブームの一例だ。1996年から本格化したベトナムでの韓流ブームは、年々拡大しつつある。
韓流ブームの伝道師的役割を果たすテレビ局の数は全国ネットの中央放送局(VTV)、ハノイ放送局、ホーチミン放送局など計40社あり、毎日20本以上の韓国ドラマが放送されている。これは全体の40%を占め、放送時間帯も正午、午後6時、午後9時からの時間帯に集中している。
ゴールデンタイムに韓国ドラマが集中して放送されていることから、必然的にスポンサーの数も最も多い。米国や中国などの外国映画の場合、スポンサーは3~7社ほどに過ぎないが、韓国ドラマは放送を前後して平均15社のCMが流されている。
VTVで『完全な愛』『勝手にしやがれ』『ガラスの靴』、ハノイ放送局で『窈窕淑女』『千年之愛』、ホーチミン放送局で『その女の家』『暴風の中に』『黄色いハンカチ』などが放送されている。これらほとんどのドラマはすでに放送が終了しているが、視聴者の要望が多く再放送されている。
中でも昨年に放送された『ガラスの靴』の場合、全人口の4分の1にあたる2千万人を毎週3回、午後9~11時にテレビの前に釘付けにさせ、街中の人通りが少なくなるほどの人気を集めた。
『ガラスの靴』は昨年9月に韓国を訪問したファン・ヴァン・カイ首相をも熱中させた。次官級の公式随行員が大統領府で行われた公式午餐会で出演者2人からサインをもらうなど、現地でのドラマ人気を証明してみせた。
ドラマほどではないが、『猟奇的な彼女』『同い年の家庭教師』『彼女を信じないでください』などの映画やBaby V.O.X、李貞賢 (イ・ジョンヒョン)、高耀太、ク・チャンモなどの韓国人アーティストの人気も非常に高い。