「ヨン様グッズはどこ?」 ブームに乗り遅れた韓流の本場


 ドラマ『冬の恋歌』(日本タイトル『冬のソナタ』)とその主人公、ペ・ヨンジュンに代表される日本国内の韓流ブームが熱い。

 『冬の恋歌』のロケ地を訪れるパッケージツアーは日本で爆発的な人気を呼んでおり、韓国を訪れる日本人観光客も大幅に増加した。

 韓国観光公社によれば今年6月までに韓国を訪れた日本人観光客は計63万8000人で、昨年上半期の49万6000人に比べて約28.6%も増加した。

 特に衛星ではないNHKの地上波放送を通じて『冬の恋歌』がスタートした今年4月以降の5、6月の2か月間に韓国を訪問した日本人観光客は約36万9000人で、昨年同時期の約15万8000人に比べて約2倍以上も増加した。 

 しかし、こうした韓流ブームを実質的な観光収入に結びつけるための国内の準備は十分でないといえる。

 韓国を訪れた日本人観光客は必ず「どこに行けばヨン様グッズが売っているのか分からなく、実際に見付けてもほしいようなものがない」と口を揃えている。こうした現実に対して「韓流ブームがせっかくの外貨をみすみす逃して終わる可能性もある」といった懸念の声も上がっている。


▲「ヨン様の写真はどこで売っていますか?」

今月17日午後10時。ソウル市・東大門(トンデムン)のショッピングモールには数多くの日本人観光客が深夜のショッピングを楽しんでいた。日本人観光客が最も多く購入するアクセサリーコーナーが入った5階では、店主が日本語で呼び込みをしていた。

 しかし、数ある店舗の中でペ・ヨンジュンや張東健(チャン・ドンゴン)など、韓流スター関連のグッズを売る店はたった一か所しかなかった。

 はがきサイズの写真やタペストリー、スターの顔写真が入ったキーホルダー、携帯ストラップなどを売るその店舗で、ある日本人観光客に話を聞いてみた。

 大久保貴子さん(31)は「韓国に来たら日本では手に入らない写真や写真集があると思ったが、どこで売っているのかまったく分からない」と語った。大久保さんはペ・ヨンジュンの写真の入った手のひらサイズの鏡を7000ウォンで買ってショッピングモールを後にした。

 ペ・ヨンジュンの熱烈なファンで家族と一緒に韓国へ来たという松島悦子さん(52)さんは「ペ・ヨンジュン、張東健など、韓国俳優の写真やDVDといった映像関連の商品は確かに日本よりも多いようだ」とし、「それでも韓国に来れば色々な靴やアクセサリーがあるから楽しい」と語った。

 『冬の恋歌』で崔志宇(チェ・ジウ)が身に付けていたネックレスと息子のためにペ・ヨンジュンがかけていたメガネを買ったという松島さんは「昼間に南大門(ナンデムン)市場に行ったが、なかなかヨン様関連のグッズを探せなくて苦労した」と語った。

 「冬のソナタツアー」を扱っている旅行サイト「ソウルナビ」(www.seoulnavi.com)のキム・ミランさんは「ペ・ヨンジュンさん関連のグッズを購入することを期待して韓国を訪れた日本人観光客の多くががっかりして日本に帰ることが多い」とし、「相対的に韓国での人気がピークに比べて落ちたペ・ヨンジュンさん関連の商品市場が活性化されていないのが主な原因」と語った。


▲「韓流を追ってきてみたら何も買うものがない」

 観光客の増加で象徴される「韓流熱風」が国内に伝えられた後も逸早く対処できず、経済効果を極大化できなかったという指摘が挙がっている。国内業者らは最近になってやっと観光客向けの商品が少ないということに気づき、大急ぎで韓流関連観光商品の開発に取り掛かっている。

 江原(カンウォン)道・春川(チュンチョン)市・昭陽(ソヤン)路に位置する『冬のソナタ』の「チュンサンの家」は、実際に1日400人もの観光客が訪れている観光名所となっている。

 しかし、ここはつい最近まで観光客がハンカチなど最小限の観光商品さえも買うことができなかった。今月18日、付近に記念品の販売ブースが設けられたが、まだ記念品は揃えられていないと、春川市は明らかにした。

 17日、お母さんと一緒に『冬のソナタ』のパッケージ観光で訪れたという山田眞紀(18)さんは、「ドラマのロケ地などを見て、ショッピングをするつもりだったが、いざ『冬のソナタ』関連の商品はあまりない」とし、「日本では簡単に手に入る写真集も、韓国ではなかなか見当たらない」と話した。

 ソウル・小公(ソゴン)洞のロッテ百貨店免税店に設置された立て看板の形の等身大のペ・ヨンジュンの写真は、日本人観光客の間で記念写真を撮影する場所として最高人気だが、免税店の中には「韓流」関連の商品はまだ整っていない。

 東大門(トンデムン)や南大門(ナムデムン)、明(ミョン)洞などにも日本人観光客の目を引く商品はない。韓流スターの写真入りのコップやキーホルダー、鏡などが目立つが、ほとんどが葉書サイズの写真とブロマイドで、国内の他のファンシー雑貨と差別性がない。

 一方、ペ・ヨンジュンの所属事務所「BOF」は今月17日、「最近巷で販売されているペ・ヨンジュンをモデルにしたコピー商品の質が落ちるため、イメージダウンが懸念される」とし、「早ければ年内にも、カバンやダイアリー、財布など革製品を中心にペ・ヨンジュンのブランドを披露する予定」とした。


▲実利を手にするのは日本?

 8月中旬、日本出張に行ってきた会社員のペク・グンウ(29)さんは「東京と大阪市内のショッピングモールや映画館、レコード店に寄るたびに、例外なく韓流関連の商品が飾られていた」とし、「数多くの写真と写真集はもちろん、各種のドラマや映画のOSTなども街頭に流れ、韓流熱風を実感することができた」と話した。

 昨年4月、日本のNHK衛星放送が第2チャンネルで放送を始めた『冬のソナタ』の人気は、文字通り日本列島を蚕食した。最近、日本最大の広告会社「電通」がペ・ヨンジュンを「アテネ五輪」と「DVDレコーダー」などに続いて上半期日本国内のヒット商品4位に挙げた。

 日本のNHKは今年6月に発表した2003年度決算報告書で、『冬のソナタ』だけで実に35億円(約350億ウォン)の収益を得たと発表している。

 先月27日、日本の産経新聞はドラマ『冬のソナタ』のブームが韓国に逆上陸し、観光客の増加と関連商品の販売伸張、国家イメージの上昇など数百億円台の経済効果を誘発していると報じた。

 しかし、「韓流を追ってきてみたら買うものがなかった」という日本人観光客の話のように、日本国内だけで関連商品が盛行し、いざ韓国は虚名だけで実利を得られないのではないか、懸念する声も高い。

 このような指摘に、専門家らは「韓流」がカネを稼ぎ入れる直接的な経済効果として表れるようにするためには、外国人観光客が買い物に出るよう多用な韓流コンテンツを開発するのが急がれるとアドバイスする。

 アジア文化産業交流財団のキム・ギュウォン事務局長は「企業は韓流スターを中心にしたスターマーケティングをさらに活性化しブランドの価値を高め、コンテンツ業界は商品の多様化を図るべき」とした。

 また、「政府レベルでも韓流熱風の経済効果を高めるため、税制を改善し、体系的な海外市場情報を提供するなど、財政的、制度的支援が必要だ」と話した。

チン・ジュンオン記者 jinmir@chosun.com
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