「a.one」で念願の歌手デビューを果たした成賢娥

 すべての人が疑問に思った。カンヌ国際映画祭のレッドカーペットを踏んだ女優が、なぜ歌手デビューするのか。しかも音楽業界はかつてない不況を迎えている。金儲けを目的としたデビューではなさそうだが…。

 「a.one」こと成賢娥(ソン・ヒョナ)の答えは単純明快だった。「本当にやりたかったことなんです」。

 成賢娥が初シングル『Turn It Up』をリリースして歌手デビューを宣言した。

 これからは“カンヌの女優”ではない。歌手としてスタートを切った成賢娥は「a.one」というアーティスト名でデビューを果たした。

 「a.one」とはアジアを席巻する「asia No.1」という意味。決して一時的なプロジェクトではないと強調する。

 「私は中途半端にやることが嫌いな性格なんです。いつまでやるかは分からないにしても、歌手としてもずっと活動を続けたいんです」とやる気も十分。

 以前から歌手デビューを希望し、多くの人から歌が上手いとも言われてきた。本格的な歌手デビューに向けて準備を始めたのは2年前。

 「単純に歌が上手いと言われるのと、歌手デビューするのでは大違いでした」

 ボイストレーナーを務めるペ・ヨニ氏の指導で歌手として通用するレベルの歌声を作り上げ、ダンストレーニングも欠かさなかった。

 本来は昨年の9月にアルバムをリリースする予定だったが、カンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品された映画『女は男の未来だ』のために1年間延期した。

 彼女は本当に欲張りだ。シングルにもかかわらず5曲も収録したのだ。あと3~4曲プラスすれば立派な一枚のアルバムになる。

 成賢娥は「いざ選曲してみると、どれもこれも捨て曲にするのにはもったい曲ばかりだったんです。アルバムリリースまで待つのはとても長すぎますし…。それで全部収録しちゃいました」と笑顔で語った。

 リードトラックの『Turn It Up』を含む5曲すべてがミディアムテンポのダンスナンバー。まだリリース前にもかかわらず、『Turn It Up』は一部チャートで14位を記録するなど、早くも人気を集めている。その他にも『What You Say』も好評を得ているという。

 「まだ私に合ったスタイルを見付けていないので、まずは皆さんに親しんでもらおうと思ってダンス系の曲を選びました」と話す成賢娥は、今後チョ・ギュチャンやローラーコースターのようなオリジナリティーのあるアーティストになることを目指していると言う。

 音楽業界でも先輩、後輩間のあいさつは基本。ならば新人の成賢娥の場合は?周りの歌手から自然に成賢娥を訪ねて来てあいさつをするという。芸能界デビュー10年目の貫禄を見せつける瞬間だ。

 自分からあいさつをしなければならない歌手はイ・スンチョルをはじめ数名に満たない。それでも新人歌手として多くのことを学ぶよう努力しているという。

 ファンもやはり彼女に相応しい応援をする。通常、新人歌手がステージに上がる場合、歌い終わって拍手を期待するのは難しいが、成賢娥には常に割れんばかりの拍手が送られている。

 成賢娥は歌手デビューしてから、まともな睡眠を取っていない。朝から深夜までさまざまなステージに上がり、一日はあっという間に過ぎていく。

 ある日は全羅(チョルラ)道・光州(クァンジュ)のステージに立ち、その日のうちに江原(カンウォン)道の高城(コソン)まで移動して再びステージに上がったこともあった。

 「映画の公開前にプロモーションで映画館を訪れたり、テレビ番組に出演したりしましたが、それ以上に辛いものがありました」

 まともな食事を取るのは夢のまた夢だった。元々ハンバーガーが好きな成賢娥だったが、最近では何があってもしっかりとした食事を取るという。

 「歌を歌うということが本当に楽しいです。いつまで続けられるか分かりませんが、ずっとステージで歌い続けたいです」

 自分がやりたかったことを仕事にしているせいか、今まで以上に幸せそうに見える成賢娥だった。

スポーツ朝鮮/クォン・イナ記者 indyk@sportschosun.com
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース