薜景求(ソル・ギョング)に映画『実尾島』(日本タイトル『シルミド/SILMIDO』)の時の姿は跡形もなかった。
73キロの体重は94キロに増え、腹の出た変わり果てた姿。2年前に出演した映画『オアシス』の時に一山(イルサン)から忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)まで一日6時間以上も歩いて63キロに減量した時と比べると31キロも体重を増やしたことになる。
撮影のために汗だくになった薜景求は、「本当に力道山みたいじゃない?」と言いながらも「息苦しい」と辛そうな表情を見せた。
「足の爪を切る時も腰を曲げられなくて手が届きません。少し動いただけでも息が切れます」。そうとは言え、薜景求がただ太ったわけではない。腕や胸には筋肉が隆々としている。
「去年の7月に『力道山』への出演が決まってから、一日4時間の運動をしてプロテインを飲みながら筋肉を作りました。そして夜にはお酒で腹を満たしました」。身長が196センチで体重が146キロもある日本の現役プロレスラーもそうやって体を鍛えて技術を伸ばしたというのが薜景求の話。
薜景求の日本語も半端なレベルではない。『力道山』には主演の薜景求を除くほとんどの出演陣が日本人のため台詞も基本的には日本語だ。
『力道山』で薜景求が韓国語で話す台詞は、唯一の朝鮮人の友人が経営する焼肉屋で酒を飲むシーンと金一(キム・イル/大木金太郎)にレスリングを教えるシーンの2回しかない。そのため、薜景求の自然な日本語の使用は絶対的に必要だった。ソン・ヘソン監督は吹き替えを検討したが、薜景求は「それだけは死んでも嫌だ」と拒否した。自分の声で演じない俳優は演技者ではないとこだわったからだ。
薜景求は「心を動かす日本語」という言葉を聞く今日まで、5カ月間にわたって常に日本語のテープを片手に集中して学び、中谷美紀をはじめ日本の出演陣たちも時間がある度に日本語を教えた。
制作費100億ウォンの超大作となった『力道山』は、『殺人の追憶』を制作した映画会社「サイダス」のチャ・スンジェ代表が『Love Letter』をプロデュースした日本の河井信哉と手を組んで韓日共同で制作された。
今年4月中旬に日本の盛岡でスタートした日本現地でのロケを先週末にすべて終え、京畿(キョンギ)道・富川(プチョン)に建設したオープンセットでプロレスシーンなどを8月中旬まで撮影した後、力道山の41周忌にあたる12月15日に国内で公開される。日本での公開は来年6月に予定されている。
『スポーツ朝鮮/広島(日本)=キム・ホヨン記者 allstar@sportschosun.com 』