映画『回し蹴り』の試写会場には人気ボーイズグループ「神話」のファンで埋め尽くされ、まるで神話ファンクラブの集まりを彷彿とさせた。神話のメンバーであるキム・ドンワンが主演を務めているからだった。
試写会の雰囲気からしてスターを主役にした若者向けの映画だということが良く分かる。もちろん夏休みシーズンを狙った作品であるには違いないが、若者の間を中心に人気を呼びそうだ。
こうしたジャンルの映画はストーリーが非常に単純だ。名門高校のテコンドー部員を叩き伏せた不良高校生のヨンゲク(キム・ドンワン)とその仲間たち。
そんな彼らがテコンドー部に入って全国大会で予選さえ通過すれば退学を見逃すという校長の提案を受け入れて全国大会に出場する。
こうして寄せ集められたテコンドー部員たちが、さまざまな葛藤や苦難を乗り越えてハッピーエンドを迎えるというのが主な映画のストーリーだ。歌手のキム・ドンワンの演技が最も光を放っているが、バレエをテコンドーに応用させたチェ・ソクポン(イ・ギウ)、いじめられた悲しみを回し蹴りで吹き飛ばすチョ・ソンワン(チョン・ジェヒョン)など、助演の演技も際立っている。
もちろん未熟な発声や過度な演技で楽しさを半減させる俳優も少なくはないが。
単純なストーリーだが比較的テンポが良く、骨太なストーリーで笑いと涙を誘う戦略はある程度は成功したと言える。しかし、妊娠した恋人と高校生が夫婦のように、あまりにも自然に同棲をしている姿は、若者たちの現実を認めるのではなく、彼らの逸脱する欲求に迎合するように見えるのも事実だ。
一本の作品としては物足りなさを感じさせる映画であるかも知れないが、十代の若者たちには歓迎される要素を持ったナム・サングク監督のデビュー作『回し蹴り』は、23日に公開される。