洪水のごとく襲う水の恐怖 ホラー映画『霊』

 最近、日本や香港のホラー映画を観ていると韓国のホラー映画が恋しくなる。今やアジア最高のレベルと言っても過言ではない。

 さらに5本以上ものホラー映画の公開を控えている韓国で“ホラー映画”というものは今となっては“マイナー”ジャンルではない。

 しかし、11日に公開された『フェイス』に続き公開される『霊』は、結論から言えば満足できる内容ではない。

 大学生のジウォン(キム・ハヌル)は自分の名前が何か、一体自分が何者であるのか、記憶のない解離性記憶喪失症の患者。

 ジウォンは治療で記憶を取り戻すことをあきらめて留学に行くことを決心する。


 彼女を理解するのは先輩のジュノ(リュ・ジン)だけ。しかし、高校時代に友達だったというユジョンに会った後、ジウォンはベッドに眠るもう一人の自分の姿を目にして恐怖のどん底に落とされる。

 ユジョンをはじめ友達が一人、二人と次々に死んで行き、ジウォンの恐怖は頂点に達する。

 水は『霊』でという映画で重要な恐怖のモチーフになる。ウンソが死ぬ時に体から溢れ出る水のイメージは、水が清らかな存在ではなく、限りなく恐ろしい物質として新たに規定できることを証明し、水と関係した事件があったことを暗示する。

 病弱な母親と二人だけで暮しているジウォンの寂しい家に唯一生きているものは金魚鉢の金魚だけだ。


 ジウォンは過去の自分が子どもの頃に仲の良かった友人のスイン(ナム・サンミ)を無視していじめていたことを知り、自分と友達がスインを連れて水辺に旅行へ行った事実も知って映画はまた他の反転を準備する。

 『霊』の反転はスポイラー(映画の重要なクライマックスを予め漏らすこと)の防止と映画の非論理的設定に対する批評がどの辺りから必要かについて議論の必要性を悟らせる。

 最後の反転は驚くほどの緻密さはない。話を整理すればするほど、反転は感嘆から溜息に変わり、粗雑さに対して言葉尻を取るようになる。

 『シックス・センス』や『薔花、紅蓮』といった映画が発表されて以降、“反転”はホラー映画の万能の道具であると同時にコンプレックスになったようだ。キム・テギョン監督のデビュー作となる『霊』は、18日から公開される。

パク・ウンジュ記者 zeeny@chosun.com
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