「2004年の大衆文化は漫画から始まる!」
この命題には明らかに誇張された意味が込められている。しかし、最近のドラマや映画、ゲームをくまなくチェックしている人なら、きっと納得するだろう。
漫画はさまざまな大衆文化の領域に多くのパワーを供給し続けている。違う言い方をすれば、漫画は新しいジャンルに向かって常に斬新な過程を踏んでいる。
奇抜な発想で人気を呼んでいるMBCテレビのシチュエーション・コメディー『どきどきチェンジ』の6日に放送された初めのシーン。主人公のモドゥ(チョ・ジョンリン)が彼氏と一緒に自動販売機の前に立っている。
「ダイヤモンド」と書かれたボタンを押すとコーヒーの注がれた紙コップが出てくるはずが、ダイヤモンドのリングが入った宝石箱が出てきた。
モドゥの友達スルギ(パク・チエ)は真っ暗なトイレで素服を着て刀を口に咥えたまま便器の中をじっと見つめている。奇妙な行動を理解するためには、画面に映し出される吹き出しを注意深く見る必要がある。
「あなたの未来の恋人が知りたければ…夜の12時に便器をのぞいて見なさい」
イラストや吹き出しを使って読者に喜怒哀楽を伝える漫画の手法がそっくりそのままブラウン管に移された。母親とモドゥが喧嘩するシーンも漫画のように家が揺れ動く。完全に漫画的だと思わせるのは「マジック・シャンプー」で髪の毛を洗った後にモドゥが華やかなドレスを着た美女に変身するシーンだ。
SBSドラマ『パリの恋人』はフランスのパリを背景した華麗な少女漫画を連想させる。パリで映画を学ぶ苦学生のテヨン(キム・ジョンウン扮す)は、財閥の御曹子ギジュ(朴新陽(パク・ シニャン)扮す)の家で家政婦のアルバイトを始める。
ここから展開されるシンデレラストーリーは見なくても簡単に想像がつく。13日の放送で超高級リムジンから降りてきたテヨンは、自分の家の前で『キャンディ・キャンディ』の主題歌を口ずさむ。「泣きべそなんてサヨナラね キャンディキャンディ…」。
その時、絶妙なタイミングでギジュが姿を現す。「僕の家に来てくれないか」。二人の姿は『キャンディ・キャンディ』のキャンディやアンソニー、テリーの姿がそのまま重なる。
MBCドラマ『愛してみせる』は親世代と子世代間の愛の衝突を描いており、日本の漫画『悪魔で候』を連想させるとネット上で評価されている。ヒロインのキム・オクスン(金美淑(キム・ミスク)扮す)の職業は漫画家だ。
漫画的な想像力と形式の導入は最近のドラマや映画の主な傾向となっている。制作者は面倒なリアリティーを捨てて自由な雰囲気を演出し、ネットを通じて敏感な視覚的な感受性を育ててきた若者たちは、思いがけない領域から新しいスタイルを発見する。
今では誰もが持っているデジタルカメラを手に、奇抜な表情やポーズを取って自らを演出して写真を撮るような新世代たちにとって、誇張されたキャラクターや現実性のない設定は愉快な遊び道具であるだけだ。
漫画家が生産したストーリーを新しいフレームで描く作業が活発に行われるようになった。漫画出版社の「テウォン・シー・アイ」は済州(チェジュ)島で夕暮れ時になると、その土地の妖怪たちが出没して修羅場となるという内容の漫画『アイルランド』で「イガ映画社」と最近、映画化の版権契約を結んだ。
ウォン・スヨンの『フルハウス』、キム・ヘリンの『飛天舞』はドラマ化、房学基(パン・ハクキ)の『風のファイター』、カン・プルの『純情漫画』などは映画化される。昨年、ドラマ『屋上部屋の猫』、映画『同い年の家庭教師』などのネット小説を実写版にした作品がヒットしたが、今年から来年にかけては漫画を原作にした作品がヒットすると専門家たちは予想している。
ネット上でも状況は似通っている。ネットゲームの『リネージュ』『ラグナロク』に続き『熱血江湖』が今年初めから原作漫画を土台にネットゲームに変身して好評を博している。ネット上には政治や社会の現実を批判したあらゆる風刺漫画で溢れている。
文化評論家のキム・ドンシクさんは「ますます各メディア間の文化コンテンツ交流が活発になってきている。漫画や漫画的な素材の急速な広がりもそうした影響を受けてのことだと思われる。大衆文化の重要な一時代を築いた漫画は、人々の文化的感受性の一面を構成している」と分析した。