顔を失った者の恨みと呪い ホラー映画『フェイス』

 顔は人の第一印象を決めるだけでなく、喜びや悲しみ、良し悪しの感情をすべて表現する。

 ところが、もしこの顔が消えたまま無念な死を遂げたとしたら、その恨みはどう晴らされるだろうか。11日に公開された今年初の韓国産ホラー映画『フェイス』(ユン・サンゴン監督、テウォンエンターテインメント制作)は、顔を失った人の恨みと呪い、そしてその顔を捜そうとする人々の物語だ。

 全身の跡形なく無惨に遺骨だけがまた発見される。頭蓋骨に人工の肌組職を着せて遺体の身元を確認しなければならない「復顔」だけが事件の糸口を解くことができる唯一の方法だ。

 しかし、国立科学捜査研究所の法医学復顔の専門家、ヒョンミン(申鉉濬(シン・ヒョンジュン)扮す)は、病に苦しむ娘の命を守るためにこの仕事を辞める決心をする。

 ところが同じ研究所の新入所員、ソニョン(ソン・ユナ扮す)がこの遺体の遺骨を持ってヒョンミンの家を訪ねて来る。遺骨が家に持ち込まれた日からヒョンミンは無惨な悪夢と幻聴に苦しめられる。

 その後、ヒョンミンは娘の心臓移植とこの連続殺人事件が関係していることを知り、妙齢の美女ソニョンの助けを得て復顔を完成させるが、事件はさらに迷宮へと入り込んでいく。無念の死を遂げた自分の顔を捜してほしいという、もう一つの無実の魂が彼を襲って最後の反転を作り出す。


 恐ろしいのは確かだが、ホラー映画を楽しみにして観るというホラー映画マニアでも、映画を観る時には必ず耳をふさぐという。映像と一体化する鋭い効果音がさらに身の毛をよだたせる。

 この映画もホラージャンルの公式に従ってサウンドから多くの恐怖を感じる。ホラー映画にはこれ以上出演したくないと言う程に恐怖を感じたという申鉉濬のリアルな悲鳴はさらに恐怖を誘う。

 「復顔」という聞き慣れない不気味な素材、骨太なスリラーを兼ね備えたシナリオで、制作される1年前から多くの関心を集めてきた映画だが、どこか惜しまれる部分が残る。

 パズルを合わせたような緻密なストーリー展開の中に観客をあっと言わせる反転を予告したが、ある瞬間から粗さが目立ちはじめる。『シックス・センス』や『アザーズ』のような予想不可能な反転を期待した観客は多少裏切られた気分になるかも知れない。

 さらにスリラー、ホラー、悲恋の物語をすべて含んでいるのだからジャンルの特性が不透明になってくる。それ程までは恐ろしくないホラー映画という印象を強く与えるだろう。しかし、復顔という新しい素材、哀愁のスリラー、ホラー映画に初挑戦した申鉉濬とソン・ユナの好演は、もう一つの恐怖の余韻を大きくしている。

『スポーツ朝鮮/ナム・ジョンソク記者 bluesky@sportschosun.com 』

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