全智賢は依然魅力的だが…『僕の彼女を紹介します』


 全智賢(チョン・ジヒョン)は格好いい。全智賢は美しい。

 全智賢は忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)で今、最高の光を放っている。郭在容(クァク・ジェヨン)監督の『僕の彼女を紹介します』(3日公開)はそんな全智賢のための映画だ。

 劇中、全智賢が女子高教師の恋人に弁当を届けて生徒たちに向かって忠告をするように「私たちは一緒に寝た仲なんだから」と冗談交じりに話した時、全智賢の魅力は最高潮に達する。警察の制服を着て鏡に映った自分を指指して「なんてキレイなの!」という台詞を発してもまったく見苦しくないのだ。

 婦人警官のギョンジン(全智賢扮す)は街中でミョンウ(張赫(チャン・ヒョク) 扮す)をスリと間違えて連行する。誤解の解けたミョンウはギョンジンと何だかんだと言いながらも手錠に繋がれながら一緒に犯行現場を訪れたことがきっかけで両思いの恋に落ちる。

 変わらない魅力を持ち続けることはスターの財産だ。しかし、変化をしないということは演技者にとってはマイナスでもある。『猟奇的な彼女』のキャラクターをそのままコピーしたようなこの映画の中の全智賢は、その溢れる魅力にも関わらず、涙を誘うクライマックスから熱血警官として繰り広げる格闘シーンに至るまで、すべてが同じように見えてしまう。


 全智賢のために用意したトップデザイナーの創意性に溢れた服のようでなければならなかったが、結局は多くのヒット作の中でよく見られたデザインをあれこれと持ってきて適当に見繕った服のようになってしまったこの作品は、全智賢のイメージを活用したというよりは搾取した映画のように見える。

 まだ若いにも関わらず、この作品が5番目の主演作で、全智賢がすでにデビュー6年目の女優である点を考えれば、“スター”ではない“女優”としての姿に対する期待は、恐らくこの映画を基点にますます高まるだろう。

 この作品で最も心残りなのでは、涙を誘うラブコメディーでアクションなどの多様な要素がほとんど接点を持てなかったことだ。涙すべきところで笑わせようとして、笑わせるべきところはひたすらお寒いこの映画は、ヒロインの職業が警察官であるにも関わらず、不自然で粗いアクションシーケンスがさらに違和感を抱かせる。

 麻薬密売のシーンを黒のスーツを着て拳銃を手にした数十人のギャングたちがカネの入ったジュラルミンケースと麻薬を交換するといった形で描く慣性的な演出は、あちこちの非現実的な設定と共に雲の上のラブストーリーをまるで夢を掴むような話にしてしまっている。

 郭在容監督の過去の作品と比べてもこの作品は、キャラクターの魅力では『猟奇的な彼女』よりも劣り、斬新さといった面では『クラシック』(日本タイトル『ラブストーリー』)に遠く及ばない。

 区議員がギョンジンを侮辱するシーンも何の効果もなしに訳もなく忙しく回るカメラワーク、合成した跡が歴然と分かる飛び降りシーンの特殊効果に至るまで、技術的な完成度にも粗さが目立つ。全智賢がCMモデルとして出演するファッションブランドからヨーグルトまで、露骨に挿入された間接広告の数々は、作品自体を巨大なCMプロジェクトのようにさせている。

 「僕の前世は風だったんだろうね。僕が死んだらまた風になるんだ。僕がいなくなって風が吹いたら僕のことだと思ってよ」という言葉で死を目前にした恋人が観客の感情の流れを“指示”し、案の定、恋人を失うことになったギョンジンが「これ以上は悲しまない。あなたがいつも傍にいると思っているから。風でもいいの」という最後の悲恋の物語を完成したという“主張”に、そう簡単には頷くことはできない。

李東振(イ・ドンジン)記者 djlee@chosun.com
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