林権澤(イム・グォンテク)監督(酔画仙/カンヌ映画祭)、李滄東(イ・チャンドン)監督(オアシス/ベネチア)、金基徳(キム・ギドク)監督(サマリア・ベルリン)監督が世界の3大映画祭でそれぞれ監督賞を受賞する快挙を成し遂げた韓国映画は今、朴賛郁(パク・チャヌク)監督の『オールド・ボーイ』がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、国際的な地位を確固たるものにした。
『オールド・ボーイ』の栄光は、最高権威を誇るカンヌ映画祭で“過去”よりも“今”を活発に活動する韓国の若い監督が成し遂げたという点でさらに意味深い。今年のカンヌ映画祭を通じて世界の映画人たちは今、“韓国映画の伝統”ではなく“韓国映画の今”に本格的な関心を向けることになった。
長年にわたって韓国映画を代表する巨匠として君臨する林権澤監督とは違い、朴賛郁監督の受賞は、忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)の中枢を成す才能ある若い監督たちが本格的に国際舞台で活躍することができるきっかけを作り上げた。
『シュリ』以降、韓国映画の産業的活力が全世界の映画人の間で話題となり、韓国映画の美学的成果も今では幅広い国際的評価を得るまでに至った。
『オールド・ボーイ』の受賞は林権澤監督が『春香伝』『酔画仙』といった韓国的な内容を描いた映画を通じて“東洋的情緒”や“韓国的美学”といったキーワードに圧縮して関心を導き出したというスタンスとは違った意味を持っている。
『オールド・ボーイ』は韓国映画がアジアと韓国という“異国的な趣向”の基準を脱してスリラーという国際的に標準化されたジャンルの中で革新を起こしたという点が認められたからだ。
朴賛郁監督は受賞直後に行ったインタビューで「韓国映画に対する関心が高まっているのはうれしいが、負担でもある」と語った。「以前のように『東洋の小人たち』といった程度の扱いをされなくなったのは良かったが、韓国映画を代表するグループの一人として扱われて負担でもある」とも語った。
世界有数の国際映画祭での相次ぐ受賞は、近い将来、韓国映画という国籍に対する好奇心から、その国籍を持った監督一人一人の具体的作品世界に対する関心へと移って行くだろう。
スタンリー・キューブリックやアンドレイ・タルコフスキーの名作を観て彼らの国籍を考える人がいないように、韓国という出身国家よりも優秀な作品を制作する韓国人である監督個人に対して興味を持つケースがさらに増えるはずだ。
端的に韓国映画はすでに世界の映画界へと進出するために“韓国的”や“東洋的”というキーワードを武器にする必要がないという事実を実証して見せたのだ。
逆説的に言えば、国際映画祭で“韓国映画”という1つのジャンル自体に対する関心が減り、作品一つ一つにスポットが当てられるようになった時、初めて韓国映画にとって本当の意味での全盛期が訪れるのである。