カンヌでグランプリ受賞の快挙を成し遂げた朴賛郁監督

 「『オールド・ボーイ』の前作、『復讐は我がもの』(日本タイトル『復讐者に憐れみを』に続き、再び復讐をテーマにした映画だっただけに躊躇していた時、妻から絶対やるべきだと言われたんです。グランプリを受賞したと聞いた時、妻から『私の功労ですからね』と言われました」

 23日に閉幕した第57回カンヌ国際映画祭は、アジア映画の躍進が話題だった。そして、その中でも最も話題となったのが、22日の閉幕式に行われた授賞式で快挙を成し遂げた朴賛郁(パク・チャヌク)監督の『オールド・ボーイ』のグランプリ受賞だった。

 権威あるカンヌ映画祭は「監督週間」や「ある視線」といった部門でお馴染みの監督を優遇していたのが慣例だったが、朴賛郁監督は今年のカンヌ映画祭に初めて出品していきなりグランプリを受賞する快挙を成し遂げた。

 斬新な映画を求めた今年のカンヌ国際映画祭にとって『オールド・ボーイ』は“ニュー・ボーイ”であると同時に“ベスト・ボーイ”だった。

 審査委員長を務めたクエンティン・タランティーノは直接マイクを手に笑顔で「この作品にグランプリを授与できて本当にうれしい」と言う言葉と共に朴賛郁監督と『オールド・ボーイ』の名前を読み上げた。

 ハリウッドスターのアシュレイ・ジャッドとケビン・クラインから賞状と賞牌を授与された朴賛郁監督は、主演俳優の崔岷植(チェ・ミンシク)と共に舞台に上がり、「カンヌでロマン・ポランスキーといった巨匠と会って話を交わしたことだけでも十分に光栄だったが、『幸運を祈る』と言ってくれたロマン・ポランスキーの言葉が効果を発揮したのか、グランプリを受賞するに至った」と感想を述べた。



 崔岷植は「今回の受賞を決定付けた(映画の中で生きたまま崔岷植に食べられた)4匹のタコに感謝し、冥福を祈りたい」と余裕の表情で冗談を飛ばすと、授賞式会場は爆笑の渦に包まれた。

 『オールド・ボーイ』の受賞には審査委員長のクエンティン・タランティーノの強力な推薦が大きく影響したと伝えられている。映画祭期間中にカンヌ市内の映画ポスター店で朴監督と偶然に会ったタランティーノは、朴監督の過去の作品『共同警備区域/JSA』『復讐は我がもの』に惜しみない絶賛を寄せるなど、好意を示したという。

 朴監督は「今からこんなにも偉大な賞をもらったら、もう私には下り坂の人生しか残っていないと思ってしまう」と冗談を飛ばしながらも「今回の受賞が今後の活動に十分な力となるだろう」と今後の抱負を語った。

 朴監督は時期作品『親切なクムジャさん』(仮題)の制作を控えており、女性が主人公のまた違ったスタイルの復讐劇で、“復讐3部作”を完成させる考えだ。

 数百件のインタビューをこなす多忙なスケジュールと授賞式直前の緊張感の中でも仕事熱心な監督は「カンヌ映画祭の受賞も感動的だが、撮影現場での幸福感とは比較できない」としながら「22日の深夜3時まで、この映画のシナリオを書いていた」と、どうってことないといった風に語った。

カンヌ(フランス)= 李東振(イ・ドンジン)記者 djlee@chosun.com
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