「何あれ! あんなことしてていいの!」
先月末、MBCテレビのドラマ『結婚したい女』の第3話が始まると同時にこんな言葉を発した人が一人や二人ではなかったはずだ。ブラウン管には清純派女優の代名詞、ミョン・セビンが肛門外科医のユ・ジュンサンから痔の診療を受けていた。
医師の指が患部に入って行く瞬間、彼女の顔には恥の欠片も感じられない物凄い形で歪んでいく。
32歳の女子高時代の同級生3人がハチャメチャ劇を繰り広げるドラマ『結婚したい女』は、同年代の女性たちが抱える真摯な悩みを余すなく描き出して話題になっている。
その中心では「多くの男性に幻想を与える役はもう懲り懲り」と言い放つように体当たりの演技を見せるミョン・セビンがオーラを放っている。MBCの議政府(ウィジョンブ)セットで徹夜の撮影を控えているミョン・セビンに会って素顔と本音に迫るインタビューを行った。
「いや、それにしても、あそこまで壊れた姿を見せてもいいものなのか?」と早速質問をすると、「実は私もあのシーン(痔の診療)を見て驚いたんです。普通はあんなシーンを撮る時には、目で演技をするものですが、どこかわざとらしいと思ったんです。それで私は顔全体を使って表現してみようと思って、鼻や口を思い切り動かしたらあんな酷い表情になってしまったんです」
ミョン・セビンの演じるイ・シニョンは結婚願望の強いテレビ局の女性記者。恋人に振られて小学校時代の同級生で医師のジュノ(ユ・ジュンサン)と再会を果たして結婚の望みを託すが、彼の関心はまったく別のところにあった。天性のそそっかしさから職場でミスを犯して今月13日の放送では遂に解雇されてしまった。
「初めは『なぜ8年間ずっと積み上げてきた清楚なイメージを一瞬にして崩してしまうのか?』と言う人も多かったです。でも一カ月間こうしてやり抜いているわけですから、これからはファンの皆さんも私と一緒に笑ったり泣いたりしてもらえればと思います」
ミョン・セビンは「男性や会社など周囲のすべてとの関係がもつれても、目の前に美男子が通り過ぎれば大騒ぎするのが本当の姿ではないでしょうか?ドラマに登場する三人組はそういった意味では本当に現実的」と笑った。
腕や足に真っ青な痣をたくさん作っても「役になり切ってやればやるほど面白いのが演技」ということを初めて実感しているという彼女が突然こんなことを言い出した。
「ソンヨン(カン・ソンヨン)が歳の割にはしっかりとした演技をするじゃないですか。それでこの前「私はどうしてあなたみたいにできないのか?」って聞いてみたんです。そうしたらソンヨンがこう言いました。『セビンさんには負けん気と言うか、意地みたいなものが足りないのかも』。でも実はいまだにその意味がよく分からないんです。ただキャラクターを自由に演じたいだけです」
「今後はどんな役を演じてみたいか?」という質問に、意外にも「目だけですべてを伝える素敵なラブストーリー」という答えが返ってきた。
約1時間にわたった行われたインタビューを終えたミョン・セビンは「低い角度から撮られると鼻が大きく映って嫌ですが、それを隠そうとするともっとおかしくなるので、ありのままの姿で演じきりました」と語った。
「32歳、これからが本番。日が昇る朝、新たな一歩を誓う現場から、心弾ませているイ・シニョンがお送りします」。男からも仕事からも見放され、絶望の淵から立ち上がって突き進むシニョンのナレーション。現実のミョン・セビンも同じ位置に立っている。