今月8日、ロシアのウラジオストックで開かれたソテジ初の海外公演に同行した600人のファンは、ソテジと同じ船に乗って往復48時間の船旅を満喫した。
6日、ソテジとファン、公演スタッフなど総勢812人を乗せて束草(ソクチョ)港を出発した1万6000トンの船「想像号」と1万1000トンの「希望号」は、東海に浮かぶ“ソテジ王国”と化した。
ソテジの、ソテジによる、ソテジのためのこのツアーでソテジ以外のものは何ものナもなかった。ファンは束草港にソテジがいつどこに現われるかと心待ちにしていた。先に乗船したソテジをビデオカメラに収めたファンは奇声を上げながら何度も録画したソテジの姿に見入っていた。
出港後に船内でソテジの姿を見付けたファンがあちこちで奇声を上げて通路を駆け回った。それを狂気だと言う人は誰もいなかった。公演スポンサーのKT&Gに応募して53倍という競争率の抽選で選ばれて今回のチケットを手に入れた筋金入りのファンしかいないからだ。
6日午後8時30分、ソテジの船上ミニコンサートがスタートした。想像号の300人のファンは、憧れのソテジの歌声を目の前で聴く夢のようなひと時を過ごした。ファンの80%が女性で、歓声は超ハイトーンのソプラノ大合唱と化した。
「夕食の豆腐とイワシの炒め物はどうだった?美味かったよね!」というソテジの言葉にファンは一斉に「あたしも!」と合唱した。ソテジと同じ食事をしたという事実に感極まっている表情だった。
2曲を歌い終えてステージを去るソテジが「今晩は僕の夢を見てね!」と言うと、「キャー!」という黄色い歓声は「毎日見てるよ!」と聞こえてならなかった。
7日午後7時(現地時間)に到着したウラジオストック港には、ロシア軍楽隊の歓迎演奏が流れ、韓国のロックスターに興味津々の人たちで溢れかえった。その中に「ソテジ」の名前を連呼する韓国人女性の姿も目立った。自費で前日に飛行機で現地入りしたファンだった。その数はざっと70人。
下船してリムジンに乗り込むソテジの姿を甲板で見守ったファンは思い思い言葉を全身の力を振り絞るように発し続けた。ファンクラブの友人4人と共に自費で現地にやって来たイム・サンア(26/会社員)さんは「ソテジファンなら当然のこと。都合さえつけばどこへでも付いて行く」と熱く語った。
8日午後7時50分からロシアロックバンド「MBK」のステージで始まった公演は、カモメが上空を舞う港近くのディナモスタジアムで行われた。ほとんどが無料招待だったが、ロシア人のオーディエンスは1万5000人に達し、警備の警察官だけで1500人が動員された。
ウラジオストック市はソテジの公演を控え、客席に1万席分の椅子を設置した。沿海州地域の韓国系住民3500人をはじめ、ロシア人がこれらの座席をほぼ満席にし、グラウンドにも6000~7000人が押し寄せた。韓国からのファンはステージの目の前を埋め尽くした。
「こんばんは。韓国から来たソテジです」。午後9時40分に登場したソテジはロシア語であいさつをして大きな拍手と歓声を受けた。
現地の女子大生(22)は「生まれて初めてロックコンサートを体験するが、こんなに多くの人を見るのも初めて。ソテジのことは知らないけど外国の音楽を直接聴いてみたくてチケットを買った」と語った。公演の最後に「グレート、ファンタスティック」を連呼していたロシア人男性(23)は「ソテジは最高だ。アイ・ラブ・コリア!」と絶叫した。
午後10時40分、アンコールの『Live Wire』に続き特大の花火が極東ロシアの港に浮かぶ夜空を飾った。その爆発音は“ソテジ王国”初の海外ツアーの成功を祝う祝砲のようだった。