悲しみ乗り越え『下流人生』で熱演したキム・ミンソン

  「人形のように綺麗ではないが、個性があるのが非常に魅力的な女優だ」

 林権澤(イム・グォンテク)監督の言葉通り、キム・ミンソンは映画『下流人生』(テフン映画制作)で、これまでに表現しなかった自分の魅力を十分に放っている。

 1950~70年代の激動の時代を生きて行くヤクザたちの姿を描いたこの映画でキム・ミンソンが演じた役は、ある時は母親のように、またある時は姉のように主人公のテウンを守るヘオク。

将来のないヤクザで、弟のF達であるのに加えて政治家である父親の反対にまで遭い、あらゆる困難を承知でテウンを選んだのはその純粋さゆえだった。

「男の人は純粋でさえいれば十分だと思います。見かけがヤクザだとしても…。基本的にそういう考えなのでヘオクという役にすんなりと入り込めたのだと思います」

 すでに知られた通り、キム・ミンソンは昨年の9月に映画のクランクインを3日後に控えて母親を亡くすという悲しみを経験した。悲しみを堪えて映画に打ち込んだが、時には撮影中に涙を隠せないこともあった。

出産シーンの時もそうだった。10時間にわたって行われたその日の撮影以降、キム・ミンソンは声帯を痛めてしばらく治療を受けなければならなかった。

 キム・ミンソンは「母が力をくれた」と言葉を始めた。

 「母が私を産んだ時のことを思ったら胸がいっぱいになって涙が止まりませんでした。母の気持ちが少しでも分かったようでした。演技ではなく完全に母親に成り切って撮影しました。そのまま母親になりたいという気持ちで」

 映画の中で年下の夫を演じたチョ・スンウは、実際にもキム・ミンソンより1歳年下だ。チョ・スンウについてキム・ミンソンは「人をリラックスさせる魅力を持っている。楽しませてくれるので呼吸もぴったりだった」と語った。

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