フランス文化院1世代の50代の現役医師が映画監督としてデビューした。5月14日に公開される低予算独立映画『フーリッシュゲーム(Foolish Game)』の監督、チョン・ソンヒョン(52/ファン・ブグン眼科院長)さんがその注目の監督だ。
「眼科医師は時間と金銭的問題を予測することにプラスマイナス10%の誤差程度しかないですが、映画監督とは職業の誤差率がプラスマイナス100%です。“オールオアナッシング(All or Nothing)”ですね。人間の感情を扱うからだと思います。けれど医師より監督の方が魅力的です」
チョンさんは高麗(コリョ)大学医学部の70学番(1970年入学)。大学時代はイ・ファンリム監督(『カムボ』)などとクラブ「映像研究会」で短編実験映画を制作し、ソウル・司諫(サガン)洞のフランス文化院で「昼の12時から夜8時まで1日中映画ばかり観ながら」映画に対する夢を育ててきたシネマキッド1世代だった。
大学卒業後、チョンさんは医大生として当然進むべき道を進み、1986年には議政府(ウイジョンブ)に自分の本名を冠する病院を開院した。
しかし心の中では「静かに映画に対する渇望だけが熟成」していた。「そしてとうとう昨年6月に決心しました。大抵の場合がそうであるように、妻と2人の息子も最初は心配していましたが、すぐに支持者になってくれました」。6月に映画会社をつくり11月末には撮影を終えた。
フランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』を最も記憶に残る映画に挙げるチョンさん。そんなチョンさんのデビュー作『フーリッシュゲーム』は作家主義的な色彩を色濃く放ちながらも「感覚が若い」という評価を受けている。
『Lies/嘘』で主人公を演じたキム・テヨン、『ワイルド・キッド』、『欲望』に出演したイ・トンギュを主人公にキャスティングし、オーストラリアとヒマラヤで撮影をした。制作費5億ウォンをはじめとした諸経費は私財をはたいて用意したもの。
「予算も少なく、経験も足りないため、本当に私が伝えたいことが表現できなかったらどうしようかという心配もありました。失敗に対する心配ですか?人間が生きていくということ自体が失敗なのに、それを恐れる理由などありません」
チャンさんは次の映画も静かに粘り強く進めて行くだろう。