映画に登場するインパクトある妖婦キャラクター


 パンドラ、クレオパトラ、サロメ、カルメンの共通点は?一見して分かるように彼女たちのすべては男を破滅に導く妖婦、すなわち“ファム・ファタール”なのだ。文学と美術の常套手段となっているこのインパクトある女性像は、映画でもさまざまなキャラクターに応用されている。

▲『tell me something』(日本タイトル『カル』)=自分と交際したすべての男性を死に追い込む遺物復元室の美人職員、チェ・スヨン(沈銀河(シム・ウナ)扮す)は冷酷ネ“ファム・ファタール”の典型だ。男たちの両手、両足を切断して殺害した彼女の残忍さは、洗礼ヨハネの首を要求したサロメを連想させ、物静かな語り口や清楚な容姿、表情の中に隠されている危険な妖艶さは拒否できない誘惑の磁場を形成する。

 そして彼女に惹かれた男は子供の頃の不幸な記憶を持った彼女の復讐に利用されて惨たんたる姿に変わり果てる。つまりは清純で美しいあの表情は見るものを石にするメドゥーサの顔なのだ。

▲『犯罪の再構成』=一方、詐欺師のソ・インギョン(廉晶雅(ヨム・ジョンア)扮す)のスマートなプロポーションと猫のように澄ました顔にはセクシーさが溢れている。悩殺的な“ファム・ファタール”の至尊、シャローン・ストーンとまでは言わないが“九老(クロ)洞のシャローン・ストーン”と呼ばれるには充分だ。

 特に目を見張るのが彼女の挑発的なセクシーさから、マリリン・モンローの白痴美が自然と感じられることだ。こうした点からもインギョンは男たちの運命を牛耳る典型的な妖婦像から脱して男たちの間を惨めに渡り歩き、頭が悪く、少々軽く見える新しい妖婦像を作り出している。

 それでも男を操る妖婦に変わりない彼女が、最後にどんな賢い計算をやりこなすかは分からない。ゲームはやはり最後まで見守らなければならないものだ。

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