ニューアルバムで「真の自由」を表現したソテジ

 彼と会うまでに非常に長い時間がかかったが、いざ会ってみるとものすごく時間が経つのが早く感じられた。

 瑞草(ソチョ)洞にあるソテジの新しいスタジオで行われた単独インタビューは2時間半にわたって行われた。インタビューを終えてその場を去る時に親指を突き出してこう叫びたかった。

 「パーフェクト!」

 二十歳で「ソテジ・ワ・アイドゥル」(ソテジと子供たち)としてデビューしたソテジは、32歳の“大人”になっていた。自分が選んだ写真だけをメディアに提供してテレビの番組でさえ直接編集をする彼は、薄っすらとメイクをしていた。もちろん写真撮影を意識してのことだった。

-最近、音楽専門誌の『HOT MUSIC』がソテジ特集を組んだが、読んで見たか?

 「一度読んだ。実際にこれまでは私についての音楽的評論があまりなかった。ほとんどは歌詞についてで、どんなメッセージであるかについてのみスポットが当てられていた。評論家たちは数年間かかって作られた曲を一日か二日聴いただけで締め切りに追われながら急いで書こうとする。どの音楽がなぜ良いのか、そういった疑問を評論家たちが解説してくれたらと思う」

-「ソテジ・ワ・アイドゥル」時代から常にブラックミュージックの影響が感じられるが。

 「シナウィ時代にもブラックミュージックをよく聴いていた。当時メンバーからよく『なぜ練炭の音楽を聴くのか』と聞かれた(笑)。ファンクよりはヒップホップ寄りのものを多く聴いた」

-ニューアルバムをリリースしてからはテレビのトークショーなどに出演するなど活動のスタイルが変わったようだが。

 「それはジャンル的な変化があったからだろう。ソテジ・ワ・アイドゥルの1st、2ndアルバムの頃もテレビなどにも頻繁に出演したし、3rdアルバムの時は3回だけ出演した。4thアルバムの時もずいぶんと出演をしたが、5thの時は一回も出なかった。ソロアルバムの『ウルトラマンだ』はダークな楽曲が多いため放送には相応しくないと判断した。今回のアルバムは聴きやすい方だと思う。だからテレビにも積極的に出ているだけ」


-今まではともかく露出が少なかったせいか「生意気だ」などと、かなり叩かれたようだが。

 「実際にも自分に対する悪い話を聞くと色々と考える。最近は悪い話をぜんぜん聞かないのでちょっと退屈だが(笑)。一部メディアのインタビューのオファーにも応えず、まったく何も提供しないからか予想外の酷評をされた。でも、まったく気にはならなかった。自分はあまりストレスを溜めない性格だから叩かれるほどに強くなるんだ」

-ソテジはミュージシャンというよりはマーケティング専門家だという評価もあるが。

 「そうだろうか。自分ではそんなつもりはない。ただ感じるままにやっているだけだ」

-今回のアルバムは「エモコア」(Emo‐Core・Emotional Hardcore)ではないかと評価されていることについては?

 「自分からはエモコアだと言った覚えはない。もちろん最近はエモコアをよく聴いていた。しかし、子供の頃を思い出すような感性的な歌詞にハードコアを融合させた“感性コア”と言っただけだ。いろいろな音楽を聴いていると好みのタイプの音楽もある。そうすると頭の中で『こんな曲もいいな』と思うようになる。自分はどちらかといえば飽きやすい性格だ。まったく同じことを再びやることには拒否感がある。そういった状況で世界でも二つとないオリジナルを創り出すのだ。もちろんどんな音楽でも根本となるものは同じだ。それこそがまさにロックだ」

-ボーカリストとしてソテジの声は弱くないか?

 「自分の声量と音圧は確かに低い方だ。しかし、自分の音楽には合っていると思う。音楽は実力ではなくフィーリングだ。実力で比較するならばスピードメタルが最高だろう」

-あえて海外でレコーディングをする理由は?

 「自由だからだ。実際にソウルでレコーディングをした2ndアルバムの時は、半年間も地下のスタジオから出ることができなかった。歌詞を書く際に“自由”とは何かが思い付かなかった。海岸に行って走り回りたいと思っていた。海外に行って窓を開けて風を感じること自体が活力になった」

 この時、ソテジは「なぜ音楽を始めたか」を語り出した。「子供の頃に教会で耳にしたドラムの音に衝撃を受け、中学2年生の時に何となく格好よく見えて安物のエレキギターを買った。中学3年生の時の成績は全校生徒530人のうちほとんどビリだった」。ソテジは「当時は両親や学校の先生は自分にとって“邪魔者”だとばかり思えた」と語った。

-90年代のダンスミュージックブームに対して責任を感じるか?

 「漠然と責任を感じる。むしろその反対の音楽をやったつもりがビジュアルとマーケティング面だけがクローズアップされてしまった。それが非常にもどかしくて怒りを覚える。だが『ソテジが全責任を負え』といった批判は受け入れられない」。

 ソテジは「ソテジジレンマ」という話をし始めた。どんなスタイルで音楽をやってもソテジは叩かれるというソテジファンの間で使われている言葉だ。次のアルバムに対する質問に彼は「今回のアルバム活動が一段落すれば、また新たなアイデアを考えなければならない。だから今は分からない」と答えた。

 窓一つないスタジオで孤独な天才は本当に自由に見えた。「じゃ、この辺で」と見送ってくれた彼のいる地下スタジオを後にした。地上には風が吹いていた。どちらが本当の意味での自由な空間なのだろうか。自問してみたが、答えは簡単に見出せなかった。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者 hwhan@chosun.com
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