「…そうだった自分が君を愛するようになった。まったく、いつ以来の感情だろうか。だが私は君を後宮にはしないだろう。それでも私の傍らにいなくてはならない。君主としての命令であり、男としての願いだ」
こんな中宗(イム・ホ)の告白の前に長今(李英愛(イ・ヨンエ)扮す)は何も言葉を発することができない。
15日の早朝、MBC放送センターCスタジオで撮影されたこのシーンの後、長今は「正三品堂上官」の地位、品Kにあたる「大長今」の称号を与えられ、中宗の主治医官となる。『大長今』後半部分の最も重要なシーン。『大長今』の最後のスタジオ撮影がこの場所で行われた。
撮影前の14日午後11時頃、同じスタジオでは8年後の長今の姿を見られた。死を目前に控えた中宗は自分の主治医官の長今が責任を被るのではと心配し、閔政浩(ミン・ジョンホ)と共に逃走させ、暫く時間が過ぎた後の場面。
長今、閔政浩(池珍煕(チ・ジンヒ)扮す)夫妻は、とある白丁(ペクチョン/中世朝鮮社会で畜獣の屠殺などの仕事に従事してきた被差別民)村で素朴な生活を営み、長今は難病患者の診察のために日々忙しく過ごしていた。
スタジオ2階の副調整室で制作を総指揮する李丙勲(イ・ビョンフン)プロデューサーはモニターを真剣に見つめ、現場の出演者もそれに劣らず緊張していた。
「横たわる老婆の胸元に何かを置いたほうがいい。非常に寂しそうにだ。布団は白い部分が見えないように。もっと見窄らしく見えなくては…」
相次いでマイクで指示を出していた李プロデューサーは「見ちゃいられない」と言って突然スタジオに下りて行った。李英愛に向かって李プロデューサーは「どうもパッとしない。服を着替えなくては」と言った。結局、李英愛は楽屋で20分間あれこれと衣装を選び直す他なかった。
李プロデューサーに『大長今』の最終回を迎えた感想を聞くと「どんな歴史家も明らかにすることのできなかった朝鮮初の王の女性主治医の物語を描き、国民の半数以上が長今の存在を知るようになったという事実だけでも誇りに思う」と語った。
撮影途中に楽屋で髪型を直していた李英愛は「まだまだ忙しく撮影をしているので最終回を迎えるなんて実感が湧かない」と言いながらも「この気持ちは一言ではとても表現し切れない」と語った。
他のスタジオで撮影を終えた池珍煕は付け髭のまま「健康ブームの真っ只中に王宮料理を扱ったストーリーだっただけに『大長今』がこれだけ大反響を呼んだのでしょう。相手役の李英愛さんの台詞が非常に長くて収録中は常に緊張されていたので中々ゆっくりと話す機会がなかったのが残念」と語った。
李英愛、池珍煕などの出演者らはこの日の撮影後、仁龍(ヨンイン)民俗村、昌寧(チャンニョン)、忠州(チュンジュ)などを回って野外シーンを収録後、22日に済州(チェジュ)で最後の撮影を行う。妊娠中毒症の産婦を洞窟の中で無事に出産させる長今の姿がクローズアップされ、全54話の大団円を迎える。