「またもう一度、同じことをやってみろと言われても絶対できないと思います」
『太極旗を翻して』の撮影現場は実際の戦地を彷彿とさせた。前後から爆弾が爆音と共に炸裂し、辺りには煙が立ち込めていた。小銃の先で殴られるのは日常茶飯事だった。打撲程度は気にしないほどに激しいアクションシーンが連続した。
「張東健(チャン・ドンゴン)さんなどの先輩たちがリードしてくれなかったらとても耐えられませんでした」。血の滲むような努力をした分、達成感も並大抵ではなかった。「ある瞬間、ジンソクという人物になり切っている自分自身に気付いたんです。あっ、これこそが演技なんだなって」
『殺し屋達のおしゃべり』(日本タイトル『ガン&トークス』)が公開された際、ウォン・ビンにインタビューをしながら「こんなに人見知りが激しくてどうやって俳優をやっているのか」と思ったことがあった。何か質問を投げかけても返って来る返事は「はい」、「いいえ」ばかりだった。
しかし、今回の『太極旗を翻して』に出演してウォン・ビン自身にだいぶ余裕ができたようだった。自分の考えをしっかりと的確に説明する姿は、すでに完璧な俳優そのものだった。制作関係者らにもウォン・ビンの現場での反応はすこぶる良かった。「アクション!」の声さえかかれば、目薬などに頼ることなく涙を流し、特殊効果用の爆弾による火柱の前でもまったく動揺を見せなかった。
二男三女の末っ子だったウォン・ビンは、一人で上京して10年近くになる。江原(カンウォン)道・春川(チュンチョン)で農業を営む父親は来年に還暦を迎えるが、冬になるとソウルにやって来るという。一人暮らしによる食生活の乱れで一時は健康を損ねたこともあったが、『太極旗…』のクランクアップ後には2~3キロ体重が増えた。
そんなウォン・ビンはプレイステーションの熱狂的なマニアでもある。ゲームをして夜を明かしてしまうことは度々だという。
ただ、酒はかなりの下戸のようだ。焼酒を3杯も飲めばその場で眠ってしまう。理想のタイプは「大人しく普通の女性」だと言うが、そう簡単には見付からないようだ。
「仕事がない時はタイのバンコクでのバカンスを楽しみます。最近は忙しくて女性と出会う機会もありません」と語るウォン・ビンだが、いったい今年はどんな話題を提供してくれるのだろうか。
『スポーツ朝鮮/チョン・サンヒ記者 nowater@sportschosun.com 』