『天生縁分』で美人コンプレックスから開放された黄新恵

 「このドラマがスタートしてから『可愛い』という言葉を聞けたのが一番嬉しかったです。私にも可愛い面があるなんて思いもしなかったので。実際にも以前は男性よりも女性に人気があったんです。私が少し冷たくて強そうに見えるからでしょう」

 MBCテレビの水・木ドラマ『天生縁分』で熱演する黄新恵(ファン・シネ)。「コンピューター美人」という賛辞の一方で「彫刻のように美しいが表情がない」という酷評をされた黄新恵だったが、6歳年下の夫(安在旭(アン・ジェウク)扮す)とさまざまなトラブルを巻き起こす主婦を熱演してまた違った魅力を見せている。

 一週間の5日間をこのドラマと過ごして全力投球している黄新恵に汝矣島(ヨイド)にあるMBCのロケ現場で3日の午後に会った。「徹夜の収録が終わって朝7時に帰宅して今ちょっと前にまたロケ現場に到着したばかり」という黄新恵は、翌日に放送されるシーンの収録を行っていた。

 今回のドラマで黄新恵は「完全に壊れた」という表現がぴったり合うほど以前とは違う表情を見せている。「この年で誰かがもらってくれるだけで有り難い」と口にしていたオールドミスから脱して年下の夫を手に入れた彼女は、お色気一杯の声で「あなた~」を連発しながら愛嬌を振りまくが、夫との一夜に屁をする蛮行を見せたり、弟のトランクスのパンツを楽だからという理由だけで奪い取って着る。


 ドラマを一度見たという先輩の崔明吉(チェ・ミョンギル)さんが電話をしてきたという。「先輩がこんなことを言うんです。『あんたマジでぶっ壊れちゃったみたいね。その勇気はどこから湧いてくるのかしら?』って。私はこう答えました。『私も分からないわよ。最近、私何も見えないの』って」

 収録途中の休憩の際に行われたインタビュー最中に「次のシーン撮りますよ」とイ・ジェウォンディレクターが騒ぎ立てる。明日の放送分を今日中に収録しなければならない慌しい現場は、まったく抗議できるような雰囲気ではなかった。何シーンか収録して再びインタビューした黄新恵が、来年小学校に入学するという娘のジヨンのことを話し始めた。

 黄新恵は「子供を産んでから怖いものがなくなった」と言う。「以前だったら今回のような壊れキャラは出来なかったでしょうね。年を取ったことも私に勇気を与えてくれましたが、それよりもジヨンを産んでからこんな役でも出来るようになったのだと思います。子供も喜んでいます。夜に見られなければ後で再放送の時に必ず見ています」

 今回、黄新恵が提供したもう一つの話題は「黄新恵ファッション」だ。10代の間で流行しているジャージスタイルで、40代には見えない変身をしたと思えば、眉の上で前髪を揃える“オンザ眉毛”のスタイルで「あなたもこれで若く見える」と言って同世代の主婦たちを煽りまくる。

 ホームショッピングのモデルなどを務める最近は、「一日に何十回も綺麗な服に着替える」と言う。

 「コーディネーターが大変そう」と一言余計なことを言うと、「私が考えに考えて決めたことだから」ときっぱり。



 「10代の衣装をも着こなすスタイル管理の秘訣」について聞くと、「一日に2時間ずつ、週に5日はフィットネスクラブに通っている」と言う。

 「美しいことがコンプレックスだった事がありました」。(これぞ美人の辛さか!)「演技を見ずに顔だけを見ているのではと随分と悩んだものです」と贅沢な悩みを告白した。彼女のコンプレックスが今までにどれだけ多くの女性たちを苦しませてきたことか。

 しかし、今回のドラマを通じて彼女を含む多くの女性たちのコンプレックスが同時に癒され始めた。視聴者が黄新恵の顔ではなく壊れた演技を見るためにチャンネルを合わせるからだ。ディレクターが再び撮影を始めると大声で叫ぶと、一息入れた“綺麗なおばさん”黄新恵はカメラに向かって走って行った。

魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
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