フィットネス本を出版した「総合武術家」李サンイン

 高麗(コリョ)大学経営学科在学中に考試院(コシウォン/国家試験を受ける人が生活するワンルームタイプの寮)で会計士になる勉強に没頭していた将来有望の一人の若者に、ある日突然親から電話が掛かってきた。

 「テレビでスーパータレントを募集するんだって。一度出てみなさいよ」

 その96年の出来事からいつの間にか8年の月日が流れた。今は“総合武術家”というニックネームでさらにその名を知られている李サンインだ。

 「モムチャン」(素晴らしい肉体の持ち主)という言葉が流行語になったのは最近のことだが、彼はタレント試験の当時から合気道3段、テコンドー2段、武術2段の合わせて7段という実力を持つ「元祖モムチャン」だった。

 「私が子供の頃からお遊戯などに出れば必ず入賞するくらいに目立ちたがり屋でした。両親もそれを十分に分かっていました。あの電話をきかっけに若い時の思い出にと思って応募したのですが、すんなりと合格してしまって今日に至っているわけです」

 実際に彼は『青い鳥はいる』、『誰も止められない』、『勝負師』、『ナツメの木に愛がかかった』、『折鶴』、『野人時代』などのドラマで熱演を見せ、最近では芸能バラエティー番組『スーパーTV日曜日は楽しくて』でドリームチームの一員として“総合武術家”というニックネームにふさわしい活躍ぶりを見せている。

 子供の頃から武術で鍛えられた体が彼だけの武器となったのは言うまでもない。李サンインは「親戚にスポーツや武術に長けた人が多かった」とし、「中学、高校時代からテコンドー道場や武術道場に通っていましたが、館長さんに覚えが速いと可愛がられたので楽しかったことを覚えています」と語った。

 この“総合武術家”は最近、自分の“武器”を活かして本も一冊出版した。「疲困打破 活力充電」というサブタイトルが付いている『ドリームチーム李サンインの暇々体操』(ヨンジン・ドット・コム刊)だ。

 李サンインは「十何年間にわたって武術やスポーツを続けながら私が体験したスポーツをさまざまな人と一緒に分かち合いたかった」とし、「今までは単純にスポーツのできる芸能人というイメージしかありませんでしたが、今回出版された本をきっかけに健康的な芸能人として覚えてもらえればと思います」と意気込みを語った。

 自分が直接ポーズを取ったさまざまな写真や文章で構成された今回の本で彼は、「熟眠体操」から「朝の体操」に至るまで、ちょっとした時間にできる生活の中の健康体操を分かりやすく紹介している。

 さまざまな分野で才能を見せているこの“総合武術家”は、演技に対しても非常に懸命だ。危険なアクションシーンでもスタントを使わずに自らが身を投じるのだ。

 李サンインは「危険なシーンでは主演俳優の顔だけが映って体を映すシーンには代役が登場する」としながら、「監督が編集する必要がないように、ロングテイクで撮ることができるような演技者になりたい」と瞳を輝かせた。

魚秀雄(オ・スウン)記者 jan10@chosun.com
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