往年の彼女はどんなに冷たく冷酷だったのか。『青春の罠』、『愛の条件』、『妻』など、70~80年代のヒットドラマで悲劇のヒロインを演じた。
沈銀河(シム・ウナ)よりも有名だった金ジャオクが95年に突然、華やかなドレスを着て『姫は寂しい』を歌った時、中年ファンは完全に圧倒された。
“お姫様”はこれ以降、全盛期に負けず劣らずの勢いで、映画、ドラマ、演劇、ミュージカル、CMなどに出演し、昨年11月からはSBSテレビのシチュエーション・コメディー『鴨鴎亭宗家』で筋金入りの中年宗婦(宗家の長男の嫁)を演じている。
子供のようにすぐふてくされる姑(羅文煕(ナ・ムニ)扮す)と国と一族の未来のためにと結婚して20年間家計を握り、家計簿をチェックする夫(朴ユンシク)との間で、浅知恵と愛嬌で自分の役割を果たす嫁役を演じている。
撮影現場で会った金ジャオクは「人生は何を成し遂げてもやっぱり悲しいもの」としながら「ある日ふと『人生なんて何てことはない、ともかく笑って生きよう』と決心した」と語った。
「もう10年ほど前になりますかね。悲しい役はもう演じないと決めたんです。他人の目に華やかに映る人ほど、むしろ虚無が潜んでいることがあります。だからと言って家族や子供がいるのに落ち込んでばかりいられないでしょ?悲しかったり、疲れている時こそ、私がふざけて人を笑わせることで、自分自身もパワーを得るのです」
金ジャオクは「まったく同じことを経験しても、他の人よりもひどく胸を痛める感受性や他の人たちが想像することができない滅茶苦茶なユーモア感覚が、私の中にはすべてあった」とし、「20代の時にメロドラマに多く出演していた頃は寂しさだけが目立っていたが、当時も実際には人をよく笑わせる方だった」と語った。
その証拠に彼女が95年にヒットさせた「公主病」(シンデレラコンプレックス)という言葉は、百科事典に掲載されている。
「自分がまるでシンデレラにでもなったかのような錯覚に陥るもので、95年にバラエティ番組の人気と共に流行し始めた」と詳細の説明をした。金ジャオクは「あら、その言葉って百科事典にも載っているの?」と甲高い声でおかしそうに笑った。