原作漫画を越えた映画『オールド・ボーイ』の想像力


 復讐心に囚われたある人間が、「敵」をどこまで虐待できるのかを見せる映画『オールド・ボーイ』では、ありとあらゆる残酷行為が描写された。

 その異常なまでの想像力の多くは、原作である土屋ガロンの日本漫画『オールド・ボーイ』から得たものだが、面白いのは朴賛郁(パク・チャヌク)監督がそれをはるかに上回る想像力を見せている点だ。

 原作漫画では、ある男が理由もわからないまま私設刑務所に送られる期間は10年だが、映画ではオ・デス(崔岷植(チェ・ミンシク)扮す)はプラス5年の「15年刑」を受ける。朴監督いわく「長ければ長いほど残酷でしょう?」

 それだけではない。この映画を観た日本人さえも驚がくさせたのは、囚われたオ・デスが15年間、一食も欠かさず揚げ餃子を食べさせられることだ。

 原作漫画では出前の中華料理を食べているのと比べれば、天国と地獄の差だ。15年間毎日、揚げ餃子を食べ続けなければならないとは!回数にすると8万2075回だ。

 囚われの身のオ・デスは、においをかぐだけで吐きそうな揚げ餃子を、「ひもじさ」のために卑屈に口に運ぶ。その姿は虫を食べるパピヨンのようだ。

 食べる苦痛を感じさせるメニューに揚げ餃子を選んだのは、絶妙な選択だ。油っぽくて、主食というよりは数人で一緒に食べるおかずであり、近所の中華料理店に「酢豚大皿」を注文すると、サービスで付いてくるメニューだ。

 皮肉にもオ・デスを虐待した揚げ餃子は、後にオ・デスが加害者を捜すのに決定的な役割を果たす。「15年間食べた味をどうして忘れられるものか…」と中華料理店を片っ端から訪れて揚げ餃子を食べるオ・デスの舌は、ついに刑務所に配達している店を見つけ出す。

 しかし、実際には揚げ餃子の味で特定の店を探すのは不可能に近い。最近の中華料理店の揚げ餃子は、複数のメーカーで作った餃子を購入して揚げているため、どこも同じ味になったからだ。

金明煥(キム・ミョンファン)記者 wine813@chosun.com
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