【申年のスター②】「常に新人の気持ちで」韓国ロックの雄「nell」 

 nellは2003年が生み出した宝石のようなバンドだ。その宝石の最大の美徳は、あらゆる可能性に満ちた若いバンドということだ。

 ソテジが自身のレーベルのデビュー第1号に選んだのは、金ジョンワン(ボーカル)、李ジェギョン(ギター)、李ジョンフン(ベース)、チョン・ジェウォン(ドラム)ら、メンバー全員が同じ年のバンド「nell」だった。

 彼らは昨年6月に『Let It Rain』というアルバムをリリースしてメジャーデビューを果たした。それ以前にもすでに2枚のアルバムをリリースしていたが、ソテジがプロデュースした3rdアルバムは、サウンドのクオリティーが向上して一気に8万枚のセールスを記録した。

 史上最悪と言われる昨今のアルバム市場で、最多セールスを記録した海外のバンド(リンキン・パーク)が7万2000枚だったことと比較すると、驚くべき数字であることが分かる。

 nellは「ライブ公演」がその打開策として浮上している現在の韓国の音楽シーンで最先端を独走している。

 紫雨林(チャウリム)、ローラーコースター、Loveholicなど、女性ボーカルを中心としたバンドが人気を集める中、すべての曲の作曲を自ら手がけて歌うボーカルの金ジョンワンの存在はそれだけに大きい。

 3rdアルバムのタイトルトラック『Stay』のメロディーや『信じてはいけない言葉』の重厚なサウンドは、90年代以降になって失速した韓国ロック本来の系譜を受け継いでいると評価される。

 昨年11月に自分たちの曲をすべてアコースティックバージョンに編曲して演奏したライブは、彼らの音楽的想像力と演奏力を再確認させてくれた。

 nellのメンバーたちはこう語る。

 「インディーズ時代にも私たちは今と同じような音楽をやっていました。でも、ソテジさんと出会ってからは十分なレコーディング機材を使えるようになり、体系的なマーケティングで私たちをバックアップしてくれました。それが最大の変化でした」

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