2003年は忠武路(チュンムロ/韓国映画の中心地)の年セった。最終的には50%前後に達すると見られる韓国映画のシェア率も驚くべき数字だが、クオリティーの面ではさらに目を見張るものがあった。
『殺人の追憶』、『浮気をした家族』、『スキャンダル/朝鮮男女相悦之詞』、『オールド・ボーイ』など、完成度の高い秀作がそのままヒットにつながった今年の興行結果は、例年とは明らかに違う様相を見せた。今年の「忠武路を揺るがした7日」を厳選し、この1年の映画界を振り返ってみる。
▲2月20日-韓石圭(ハン・ソッキュ)時代の終焉(『二重スパイ』公開終了)
『二重スパイ』は長年トップの座に君臨してきた韓石圭が3年ぶりにスクリーン復帰する作品として公開前から多大な関心を集めた。しかし、1月23日から公開された総制作費69億ウォンのこの大作は、2月20日までの1カ月間に全国で100万人をやや上回る観客を動員したにとどまり、興行に失敗した。
2002年末に朝鮮日報が忠武路の映画関係者に行ったアンケート調査で、韓石圭は数年間のブランクにもかかわらず「観客動員力1位」と評価された。しかし、この映画の失敗後に行われた同様のアンケートで韓石圭は13位に急落、6年余り続いた“韓石圭時代”の終焉を実感せざるを得なかった。
一方、崔岷植(チェ・ミンシク)、宋康昊(ソン・ガンホ)、薜景求(ソル・ギョング)、朴重勲(パク・チュンフン)、李美淑(イ・ミスク)、全度妍(チョン・ドヨン)などは相変らずの健在ぶりを見せた。
▲4月1日-レスリー・チャンの死
エイプリルフールに飛び込んできた香港スター、レスリー・チャンの死を伝えるニュースは、多くの国内のファンを悲しみのどん底に陥れた。46歳という俳優として絶頂の時期に迎えた悲劇的な死は、若い日の思い出をレスリー・チャンと共に過ごした20代半ばから40代前半のファンを深く悲しませた。2003年は例年になく多くの海外スターがこの世を去った年だった。
▲6月13日-ホラー映画の全盛期始まる(『薔花、紅蓮』公開)
今年はホラー映画がアンダーからオーバーへと確実に変貌した年であった。 『薔花、紅蓮』は6月13日の公開と同時に大ヒットを記録し、ホラー映画の観客層を大きく広げた。立て続けに晩夏にかけて『四人用の食卓』、『鏡の中へ』、『狐階段-女子高怪談 三番目の物語』、『アカシア』が上映され人気を博した。
3年前の夏にも『カル』、『Harpy』、『海辺へ行く』、『撮られたら死ぬ』、『恐怖タクシー』の5本のホラー映画が今年と同様に公開されたが、そのほとんどが海外ホラーには遠く及ばぬ内容で、観客には見向きもされなかった。
しかし、今年はさまざまな素材や形式的実験を通じてホラージャンルの幅を広げてヒットを記録し、本当の意味での韓国産ホラー映画の元年となった。
▲6月28日-『殺人の追憶』が観客動員数500万人を突破
2003年は『殺人の追憶』の年だった。公開から2カ月目の6月28日に観客動員数500万人を突破し、最終的に525万人を動員した今年最高のヒット作は、ある研究調査で現代(ヒュンダイ)自動車の「EFソナタ」を2800台生産したのと同等の付加価置を生み出したと評価された。
今年公開された作品の中で唯一500万の大台を超えたこの映画は、興行成績のみならず評壇でも満場一致に近い賛辞を浴びた。サンセバスチャン国際映画祭の監督賞、大鐘(テジョン)賞、映画評論家協会賞、大韓民国映画大賞の作品賞をはじめ、国内外の映画賞を総なめにした『殺人の追憶』は、社会現象にまで発展する“夢の大衆映画”だった。
▲8月31日-韓国映画が夏の映画市場を席巻
今年の韓国映画は遂に夏の映画市場をも掌握した。マーケットーシェアは高かったが、主に旧正月や秋夕(チュソク/旧盆)のようなオフシーズンを中心にヒットした例年とは違い、2003年は韓国映画が1年で最高のオンシーズンである夏の映画市場でさえもハリウッドの超大作を抑えて圧倒的な優勢を見せた。
6月から8月末までの14週間に韓国映画が週間順位の1位を記録した期間は計9週だった。『薔花、紅蓮』、『初恋死守決起大会』、『シングルス』、『女子高怪談 三番目の物語』、『浮気をした家族』が立て続けにヒットを記録し、今年の夏は『マトリックス リローデッド』、『ターミネーター3』以外の洋画は特別な関心を集められなかった。
▲9月14日-ヤクザ映画ブームの終焉(『極道の妻2-帰って来た伝説』の不振)
秋夕連休の観客を狙い、その一週間前に公開された『極道の妻2-帰って来た伝説』は、前作の人気に乗じて公開第1週目には1位を記録した。
しかし、9月14日までの秋夕連休期間中には、同時期に公開された『オー!ブラザーズ』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』に逆転され3位に後退した。最終的に『極道の妻2-帰って来た伝説』は全国で186万人の観客を動員したにとどまり、話題作としては期待以下の成績に終わった。
『極道の妻』、『頭師父一体』、『家門の栄光』など、ここ数年間にわたって映画館街を独占したいわゆる「ヤクザ映画ブーム」は、今年に入って斬新なアイディアと完成度を前面に打ち出した新しいスタイルの映画の影に隠れて急激に力を失っていった。
▲10月17日-劇場版時代劇ブームの到来(『スキャンダル』、『黄山平野』が同時ヒット)
今年はいつになく時代劇が人気を集めた年だった。いわゆる「フュージョン時代劇」ブームを生み出した作品として、ブラウン管の『大長今』と『茶母』に対し、スクリーンには『スキャンダル』と『黄山平野』があった。
10月17日は公開間もない『黄山平野』が、2週連続トップの『スキャンダル』と1、2位を記録した日だった。両作品は今までの時代劇の枠から大幅に脱して新たなスタイルを提示し、韓国映画の新しいジャンルを確立した。
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